そういうタイプ

 先日、子育て支援センターで他の子のはいはいを見学したにもかかわらず、あいかわらず「……の、ようなもの」くらいの、つたないはいはいしか見せてくれない娘。
 そこで一計を案じ、
「娘が触りたくて触りたくてしかたないけれど大人たちが触らせてくれないので、隙あらば奪おうといつも横目で様子を覗っているもの」
 つまり照明やTVのリモコンだの、スマートフォンだのをカーペットのうえに並べて置いて、すこし離れたところに娘をおろしてみたところ、高速はいはいでまたたく間に目的地点に到達していました。
 なんだかもう、じつはとっくにはいはいできていたのに、隠していただけなんじゃないの? と問いただしたくなるほど、迷いのないフォームと、むだのないコース取りでした。
 ニンジンがあると走っちゃうタイプ。きっと。
 リモコンのボタンを押して照明を暗くした娘は、生まれてからいままでで、いまがいちばんうれしいんだろうなという会心の笑みを浮かべていました。