壁のぽっちと繋ぐあれ
じつは、いま住んでいるところにはテレビがありません。
正確にいえば、モニタはあるのだけれど、受信のためのコードをつなげていないので、Wii専用なのです。
私はもともとテレビはめったに観ないし、Iくんはなにせひとりでひと月2人月働くひとなので、観るひまないよね、テレビなくてもいいよね、というふうに話していたのだけれど、たまに実家で観る『篤姫』が近年の大河としては出色の面白さなので、よりにもよってこんな年にどうして私はテレビの観られない環境にいるのかしら、くらいに思ってはいた。
しかもことしはオリンピックイヤーでもあったのだった。
それは「めった」の中の「めった」じゃないですか。
YouTubeで開会式ハイライトを観たけれど、つまらない。由緒正しい開会式の観賞方法というのは、NHKアナウンサーの「おや? なにか出てきましたよ」というセリフはまいどまいどうそくさいねえとか、やっぱイタリアのユニフォームはおしゃれねえとか、だらだらと観て、きっと番組延長になる中継のさいごまでつきあうことだもの。
それでとうとうテレビを接続することにした。あの、壁のぽっちとテレビを繋ぐあれ、なんというなまえなのか、買いに行くまえのインターネットで下調べしたのだけれど、「テレビ」に「コード」や「ケーブル」のキーワードを添えて検索すると「ケーブルテレビ」だの「リージョンコード」だの、ちょっと上級な情報ばかりひっかかって、ほしいなまえがなかなか出てこないのだった。あれ、同軸ケーブルとかアンテナコードとか呼ばれるらしいですよ。苦労して調べたけれど、近所のビックカメラに行ったら入り口から10歩ほどの棚にこんもりとあった。なんでもまずネットを入り口にする癖、われながらどんなもんだろう、時間のむだづかいになるときもあるんじゃないかな、と思った。
帰宅して壁のぽっちとテレビをケーブルで繋いだらあっさり映ったので感動。
そんなわけで、陸上男子100mはテレビのライブで観ました。「えっ、いまの全力疾走だったらどんな記録出てたのよ?」って、きっといま世界じゅうの何億人もとおんなじ気持ちを共有しているんだろうなって思いながら。テレビって、いいものだなあ。