『パリ・ルーヴル美術館の秘密』

 DVDで観ました。
 タイトルのとおり、パリ・ルーヴル美術館の裏方を描いたドキュメンタリー映画です。
 ドキュメンタリーにつきもののナレーションはいっさいなく、ことばというと、学芸員たちのつぶやきや仕事上での会話、議論のみです。そのために、画面のなかに映るもの、視覚に集中できる映画です。
 なんとなく画面を横切った搬送ちゅうの絵画(しかも、上下さかさまに!)がフォンテーヌブロー派の『ガブリエル・デストレとその姉妹ビヤール公爵夫人とみなされる肖像』だったり、修復作業ちゅうの絵がジョルジュ・ド・ラ・トゥールの『大工聖ヨセフ』だったりするあたりが、さすがルーヴル。
 失敗したなあと思ったのが、私はまだルーヴルに行った経験がないのにこの映画を観たことで、もしいちどでも訪れていたなら、あの展示室はあそこ、ここはあそこから観た景色というふうに、観ながら旅を思い出して楽しめたのだろうと思います。
 美術館の地下深くふかく、彫像が数多く収められた保管室があって、そこへと階段を下っていく場面が、『オペラ座の怪人』を彷彿とさせました。でも、これはただのパリつながりの想像だよねえ。そうした安直なイメージを描き換えるためにも、いつかパリを訪れてみたいものです。

パリ・ルーヴル美術館の秘密 [DVD]

パリ・ルーヴル美術館の秘密 [DVD]