きっと「いっしょにしないで」と思われた

 引っ越しの準備でばたばたと過ごしているここさいきんですが、きょうはぽっかり時間的余裕ができたので、髪を切ってもらいに行きました。
 いつも指名しているひとが、きょうはおやすみだったので、はじめての美容師さんにお願いすることに。
 その美容師さんがフェイスブラシを左手に持っているのにふと気づいて、「もしかして、左利きですか?」と訊いたら、「そうなんです! よく気づきましたね!」「私も左利きなので、ちょっと気になったんです」と、シザーズトークならぬレフティーズトーク
「お高価い左利き専用のハサミを使うより、右利き用のハサミを左手で使うのがけっきょくいちばん使いやすい」とか、「左と右がとっさにわからない。ナビ役で『その角を左で』と言いながら右手を挙げている」とか、ニッチなあるあるネタで盛り上がったので、おっ、これは? 私の人生最大の左右盲エピソードも同意してもらえるかも? と思い、
「自分で車を運転しているとき、左折するときに右折のときの要領と間違えて、遠いほうの車線に入っちゃったんですよね」
 と話したら、数秒間、文字通り絶句されました。
(口をあけたまま身動きできずにいる美容師さんと鏡のなかで目が合った、あの間の気まずさときたら) 
 ごめん……ごめん! 接客業のひとも固まるような無茶振りをして!!
「それで私は運転は向いていないと思って、もう自動車は運転していないんです」と慌てて付け加えたら、とてもとてもほっとされたみたい。
 あー、でもそのとき周囲に他の自動車が一台も見当たらなかったんだよー。だから間違いに気づかなかったんだよー。と言い訳するのを忘れちゃった……。
 同じ左利きだからって、いっしょにしないでほしい……と思われたことでしょう、きっと。