太宰と清張と三島

 ことし、さりげなくびっくりしたことのひとつは、太宰治松本清張がともに生誕百年だったことです。あのひとたち、同い年だったんだ! イメージでいうと、太宰は大正寄りの昭和のひとだし、清張は昭和まっただなかのひとだし、とても意外でした。 
『こだわり人物伝』を観ていたら、日本文学全集を編纂することになったときのエピソードとして、三島由紀夫が、松本清張をラインナップに加えるなら自分の作品を載せることは許さないと言い張ったのを、谷崎潤一郎川端康成がとりなそうとしたけれど、三島がどうしても肯んじなかったので、清張の作品が収録されなかった、という昭和文壇こぼれ噺を紹介していました。き・み・た・け。三島って、太宰のことだって、好きで好きすぎて嫌い! みたいな態度だったのにねえ。まあ、長生きするわけがない性格のひとだったんですね。松本清張がテーマの番組なのに、そのエピソードだけでまるで三島が主役のようでした。