『ロバと王女』

 シャルル・ペローの童話を原作にした、ジャック・ドゥミ監督、ミシェル・ルグラン音楽、カトリーヌ・ドヌーヴ主演の映画です。

宝石を生むロバのおかげで大変裕福な王がおりました。
しかしお妃が「私より美しい女性と再婚して欲しい」と遺言を残して亡くなってしまいました。
お妃より美しい女性はこの世にただ一人、王女だけ。
王は王女に結婚を申し込みます。
困った王女はロバの皮に身を隠し、姿を消してしまいます。

 原作の童話を読んだときはかなり近親相姦的な匂いがしたのだけれど、映画ではそのあたりはあっさりときれいに処理されています。実父である王様からのプロポースに、空色のドレスがなきゃだめ、とつっぱねる王女。空色のドレスが仕立てあがったら、月のドレス。そのつぎは太陽のドレス。この童話らしい流れを丹念に描くことによって、映画としてはふしぎな雰囲気にしあがっていて、現実感がなくてすてきでした。王女が眠りにつく寝床が、お花の咲く野原のようなデザインだったり、王様の玉座がコラージュのような飾りつけだったり、まがいものとしての可愛さが目白押し。
 王女役のドヌーヴと結ばれる王子様役は、『ロシュフォールの恋人たち』では彼女と出逢いそうで出逢わなかったジャック・ペラン。やっと共演できたのね!
 あと、ロバの皮をかぶっても、ちゃんと可愛いカトリーヌ・ドヌーヴはさすがだなあと思いました。
 それにしても、美しさを自覚している女性の「私より美しい女性と再婚して欲しい」という遺言は、「再婚しないで」という意味なんじゃないの。という気持ちが拭い切れません。