『ネバーランド』

 先日観た『ピーター・パン』(id:moony:20110121)の原作者、ジェームズ・バリが主人公の映画です。
 公園で知り合った男の子たちと意気投合し、ごっこ遊びでサーカス団員やインディアンや海賊(!)にまじめな顔をしてなりきる反面、自分が書いた芝居の舞台裏ではひどく神経質な様子を見せるバリは、ジョニー・デップにうってつけの役。
 でも私、この作品は劇場公開から、かれこれ三回は観ているのですが、そのたびにバリの妻メアリに感情移入して、にがーい気持ちになってしまいます。自分の夫が、自分たち夫婦のあいだには子どもがいないのに、よその子どもたちにいれこんで、しかもその母親である未亡人シルヴィアに惹かれている。夫はピーター・パンなのに、自分はウェンディじゃない、それはべつの女性だなんて、しんどすぎる!
(原題の"Finding Neverland"は、バリや、男の子たちだけではなくて、このメアリにも、シルヴィアにもかかることばなのね)
 なんども観ていると毎回それなりに発見があって、シルヴィアは病身なのでバリとの恋愛はプラトニックなものなんだろうと劇場で観たときは思っていたのですが、二回目に観たとき、体調を崩したシルヴィアを見舞ってふたりきりで話したあとのバリが、ジャケットを着ているシーンに気づいて、いつのまに脱いだの? と、びっくり。そして三度目の今回、寝室で話していたはずなのに、わざわざ寝椅子に移動しているよ? と、さらに気づいてしまい、うわあああっとなりました。その移動自体には大して意味がなさそうだったので、逆に、ベッドを映せない理由をほのめかす感じ。うがちすぎかしら。でも、じゃあ映画の文法で、意味もないのに、着ていた上着を脱いだり場所を移動したり、わざわざ描く理由があるかしら。
 と、観れば観るほど苦味の深まる作品なのですが、私がいままで観た映画のなかでいちばん、死を暗喩する映像が美しくて、それ観たさに、TVで放送されていると、ついついチャンネルを合わせてしまいます。
 そしてエンディングでサー・アーサー・コナン・ドイルの役名を見つけては、どこに出てたっけ〜〜〜?! と、いつもいつも、首を捻ってしまうのでした。
 四回目を観るしかないのか……。
 おっと思ったのは、スティーブン・スピルバーグの『フック』でフック船長を演じたダスティン・ホフマンが、この映画では舞台のプロデューサー、チャールズ・フローマン役を演じています。そしてこのフローマンというひとは、現実ではシャーロック・ホームズを舞台化したひとでもあるみたい。この時代は有名なキャラクターがいっぱいで、いろいろとおもしろいですね。

ネバーランド [Blu-ray]

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