新潮文庫がないんです

 雪の舞うなか、お茶の水へ。
 例の、製本熱(id:moony:20100819#p1)のつづき。きょうは美篶堂のワークショップに参加してきました。
 美篶堂は、カラフルなグラデーションの立方体のメモ帖だとかで、おなじみの会社ですね。
 きょうの課題は角背の上製本です。表紙、見返し、花布、しおりひも、と用意されているなかから好きなものを選ぶのはおきまりですが、本文紙も8色ほどから選べて、1色ですっきりまとめるもよし、複数色でグラデーションにするもよし。
 ふだん、つかわないような色づかいをしてみようとがんばったのが、こちらです。テーマは「マヨネーズ」。


 お店のとなりのギャラリースペースで、受講者は5人。講師の先生のほかに、アシスタント的な役割の方がいて、のりで汚れた刷毛を洗ってくれたり、ごみを捨ててくれたりと、至れり尽くせりでした。そして、角背は丸背にくらべて、だいぶ易しかったです。
 じつは、つぎに「手持ちの文庫本を上製本にする」というワークショップも申し込んでます。むしろ、こっちのが本来のお目当て。しかし、ここ数日、それについて悩んでいたことが。
はじめての手製本 製本屋さんが教える本のつくりかた

はじめての手製本 製本屋さんが教える本のつくりかた

 この本に、その作り方と作品例が載っていて、それは材料の文庫本が、新潮文庫です。どうして新潮とわかるかというと、上製本の布貼りの表紙のうえに、もとの文庫本の表紙を切り抜いたものを貼っているんですね。新潮文庫の、カヴァーを剥いた下の表紙って、葡萄のマークがワンポインになっていて、すてきなの。
 で、ワークショップには自分の文庫本と表紙にしたい布を持参する必要があるので、新潮文庫を求めて書棚を探ってみたわけですが、いやもう、これが、ない!! というか、異様な創元推理文庫率とちくま文庫率と河出文庫率。創元推理文庫はもともとのカヴァーがすてきすぎて上製本にする気がおきないし、ちくまの表紙はおしゃれじゃないので切り貼りする気が起きないし、河出の表紙はアクが強すぎて表紙の布を無地にしない限りぶつかってしまいそうだし。ああ各々の出版社じたいがそんな感じだよね……と納得している場合ではない。
 そんなわけで、「新潮文庫がないんです……」と、作業のあとのお茶の時間に先生に相談したところ、

  • 表紙の切り抜きは、貼らなくてもよし!
  • カヴァーを切り抜いて貼ってもよし!
  • 自分の好きな柄の紙をパソコンで作って貼ってもよし!!

 とのことでした。
 これで、安心してつぎのワークショップを受けられ……ることは受けられるんだけれど、それだけ自由度が高いと、こんどは、どの本を持っていけばいいのやら、迷ってしまうのでした。
 帰りみち、数年ぶりに本格的な雪に見舞われたので、生命の危機を感じ、そそくさと退散してしまいましたが、雪の舞うニコライ堂でもひと目拝んでいけばよかったかしらと、あとからちらりと思ったりしました。