2011年8月に読んでいた本

 我が家では基本的に蔵書は共有、夫婦のどちらかが購入した本をもう一方も自由に読むのが習い(仕事に必要な本や、よそさまに借りたものを除く)です。
 そんなわけで、私の読み散らかした『彩雲国物語』の漫画版を主人もまた読んだらしく、
「女の子向けの漫画って、どうしてお金持ちの美形がヒロインをちやほやするお話ばかりなの」
 と、素朴な疑問をこぼされました。
 うーーーん。女の子向けの漫画がぜんぶそういうふうだと言われているみたいで、そこをまず訂正したい。
 そもそも、「気品ある美青年たちがヒロインのまわりをうじゃうじゃしている」シチュエイションを楽しみたいときのための漫画が由羅カイリ作品なんだよ! 少女漫画のなかでも最右翼なの!!
 少年漫画にうとい人物が、『きみまち』だけを読んで、
「男の子向けの漫画って、どうして女の子のキャラクターの髪型と胸の大きさが違うだけで、顔がぜんぶいっしょなの」
 と決めつけているような、乱暴な話じゃないかしら、それは。

8月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:987ページ
ナイス数:10ナイス

ONE PIECE 63 (ジャンプコミックス)ONE PIECE 63 (ジャンプコミックス)
今後、人間たちと魚人たちの人種差別問題がもっとクローズアップされていきそうな雰囲気。まあ最終的にこの二種間はなんとか折り合いをつけられそうだけれども、天竜人とは??? 今後どうなるんだか、さっぱり予想がつかない。
読了日:08月04日 著者:尾田 栄一郎
彩雲国物語 第3巻 (あすかコミックスDX)彩雲国物語 第3巻 (あすかコミックスDX)
眼福を得たいときは安心と信頼の中華風アンジェリーク(イイ男たくさんの意味で)。舞台が後宮から外朝へと移り、新しいタイプのキャラクターも登場。藍将軍みたいな美系なお茶汲みがうちにもいたらいいのになー。
読了日:08月17日 著者:由羅 カイリ
彩雲国物語 第4巻 (あすかコミックスDX)彩雲国物語 第4巻 (あすかコミックスDX)
尚書のオチはまぁそういうことなんだろうと予想はしていたけれど、実際に絵になっているところを見るとすごかった。ヒロインのおじさんとの掛け合いもかわいい。それにしても仕事抜きで主上の夜這いについてくる側近コンビは、ヒマなの? 文官の方が怒りっぽくいつもカッカしてて武官の方が宥める役、というあたりは意外性があってよいコンビ。
読了日:08月17日 著者:由羅 カイリ
彩雲国物語 第5巻 (あすかコミックスDX)彩雲国物語 第5巻 (あすかコミックスDX)
原作シリーズ未読。唐代以降の中華風の設定とヴィジュアルなのに、裏社会の組織の名称が「組連(くみれん)」かあ…(湯桶読み!)。史実を参考にしたらしい用語の硬さと、原作者オリジナルらしいことばの響きとのあいだにギャップを感じる。そのギャップが妙、という域にも達しているわけでもなく、こなれていなくて、違和感。表紙はヒロインが珍しく華美なかっこうで描かれていてかわいい。
読了日:08月17日 著者:由羅 カイリ
彩雲国物語 第6巻彩雲国物語 第6巻
科挙制度の整った国で、高級官吏候補が、掃除係だの靴磨きだのさせられるなんてことあるかなあ、と疑問に感じてしまった。どう考えても、高級官吏と下働きでは職掌と命令ルートが断絶してるのが自然。そもそも女人が国試受験(男装とかナシで)という、ぶっとんだ設定なので、いまさらなツッコミかもしれないけれど。いままで気安く交流をもてた王やその側近たちと、身分の隔たりができてしまったあたりの表現は良い。
読了日:08月17日 著者:由羅 カイリ,雪乃 紗衣
怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)
ずっと気になっていた『怖い絵』シリーズが文庫化されたので読んでみた。でもこれ、第2巻に加筆したものなのね。なぜ1巻から文庫化じゃなかったんだろう。怖い絵には2パターンあって、怖い題材や不気味な雰囲気を描いているものと、一見ふつうの絵だけれどじつは制作背景が怖いもの。後者タイプの作品に対する解説のほうがおもしろい。掲載されているゴヤの絵画『精神病院の中庭』を見て、そういえばゴヤが主人公の映画に精神病院を訪問するくだりがあったけれど、この絵あってこそのシーンだったのかと気付いた。
読了日:08月20日 著者:中野 京子
怖い絵怖い絵
以前、ポール・デルヴォー目当てに観に行ったベルギー絵画の展覧会で、予想外に心惹かれたのがフェルナン・クノップフの作品だったのだけれど、この本で制作背景を読んで激しく納得した。これまでフランスやイタリアの華やかな絵に目を奪われていたけれど、スペインやオランダやベルギーの絵って、じわじわとくるものがあってよいなあ。
読了日:08月25日 著者:中野 京子

怖い絵3
怖い絵3
「怖い」の意味がたまにちょっとこじつけすぎないかとか、既刊でこんなの読んだなあとか、すこし息切れ感がしてきたと思ったら、シリーズ最終巻。そんななか、レッドグレイヴ『かわいそうな先生』への作品解説は、絵画というよりガヴァネス小説のブックガイドといった雰囲気で、毛色が変わっていて、個人的にはよいと思う。
読了日:08月25日 著者:中野 京子
どうして書くの?―穂村弘対談集どうして書くの?―穂村弘対談集
ほむほむが、自著の感想のブログ等をチェックしているとか、エッセイ上の自分のキャラを母性本能くすぐり系とは捉えていないとか、すごい意外なことがちょこちょこ載っていた。
読了日:08月30日 著者:穂村 弘
整形前夜整形前夜
短歌も、ほむほむの生態を読むのも、どっちも好きなので、あいかわらずの世間とのずれを自虐しつつ、さいごに短歌を添える形式のエッセイが多いこの本は満足度が高かった。
読了日:08月30日 著者:穂村 弘


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