雪の日の朝とつるし雛

 天気予報がそういっていたから覚悟はしていたけれど、雪の降る朝のあの静けさって、どうしてあんなに不吉なんでしょう。
 雪の日、とくに平日は、駅までの道のりで自転車がつかえなかったり、電車の運行に遅延の可能性があるので、ふだんより早め早めに行動しなくてはならず、ゆううつです。
「雪が降っているから、そのつもりで出かける支度をしてね」
 と、起きぬけの主人に声をかけたところ、
「うそだ」
 という返事。
 なんだとう。
「……私のことばが信じられないなら、自分で窓の外を見れば?」
「いやだ……雪なんて事実を受け入れたくないから、見ない」
 めんどくさい! 雪の日になによりめんどくさいのは、主人だった!
 じゃあ晴れだと信じていつもどおり行動すればいい! そして雪道で自転車ごとこけたり、会社に遅刻したりすればいい! ばーかばーか!! と、思いました。
 お昼ころには雪も、霙まじりの雨、ていどになったので、おでかけ。ご近所で開かれていた、つるし雛のミニ展覧会です。
 古裂を利用したつるし飾りばかりで、驚くほど、よかったです。古裂だと、手芸用のちりめんと比べて段違いにしなやかで、光沢も上品で、そして色とりどりであってもほのかに帯びた古色のために色彩に統一感があって、色づかいが煩くないのです。
 なかに一点だけ、つまみ細工のくす玉があって、精緻で華やかで、すてきでした。
 挑戦してみたい手芸ジャンルが、またしても増えてしまった……。