インドアなふたり

 Iくんの勤め先には交代制の宿直があり、月になんどか泊り込まないといけなくて、Iくんはこれがとても厭らしい。
 引っ越してからはなおさらで、きょうはまさしくその宿直なんだけど、けさなんて、パジャマその他お泊りセットの入ったバッグを抱えてべそかき半歩手前のかおで玄関に立ち尽くしているので、ドアの外へ送り出すのに、いってらっしゃいのキスが3回必要だった。
 で、私はといえば、実家に帰ればいいものを、あすの訪問先にはこちらから行くのがべんりという理由で、こんやはIくんの部屋にひとりおるすばん。
 水曜日はノー残業デーなのでさっさと帰ってきて、
 ピアノをすこし弾いて、
 iKnow!*1のレッスンをこなし、
 フレンチトーストにカフェオレという朝食みたいなメニューの夕食を摂って、
 食器洗いとお洗濯、
 ペン習字でひらがなの「に」と「こ」を練習をし、
 ひさびさにヨガ、
 半身浴がてらお風呂で読書して、
 お布団でぬくぬくしつつネットなわけです。
 ああ、秋の夜のおうちってなんて楽しいの。そりゃあ、宿直なんて、いやだわよねえ。
 ……Iくんも私に負けず劣らずインドア派なので、ふたりで時間をすごす、Iくんお気に入りのシチュエイションは「Iくんがwiiガンダムのゲームをし、私は編み物をしながらそれを眺めている」なのだそうです。なにせ、ひみつ主義のIくんがお母さまに話したそうなので、よっぽどのお気に入りなのです。(お母さま答えて曰く、「あらあ、仲良しなのねえ」だそう。その内容に対してそのコメント返せるというのは、母は偉大だと思った)
 でも、そのことは、あんまり他人に吹聴してほしくないなあ。
 かぎ針編みをしながら、「あのガウを撃墜すると高得点なんだと思うの。射程の長い武器はある?」とか、てきとうに声かけるの、けっこう骨の折れる作業なの。