『崖の上のポニョ』
ずーっと『丘の上のポニョ』だとばかり思いこんでいたのだけれど、
公開初日に、じつは『岸の上のポニョ』だったのだ! と気づいた。
しかし、よくよく見てみれば、正しくは『崖の上のポニョ』だった。
もうなにがなんだか。
という予備知識のない状態で観てきた。シネコンはのべつまくなし一時間ごとにいずれかのスクリーンで上映開始するのでゆったりだ。
アニメーション映画が忘れてはいけないことって、「観ている目をしあわせにしているかどうか?」ということなのだわ、と、毎瞬毎瞬かわいらしい宗介とポニョの仕草や、色えんぴつで描かれたような背景を観て大喜びする私の眼球を感じながら、思った。
きれいな絵とか驚異的な動きとかあざやかな色とか。
それらがなくて、実写ではなくアニメーションで映像をつくる意義って、なんなのだろう。
しかし私がいっとう気に入ったのは、水に沈んだ海辺の町の人びとがボートに分乗して山の上のホテルを目指す、というシュエイションです。うっとり。いまは水底となった県道をデボン紀の生き物が泳ぎすぎる。うっとりうっとり。
海よ、僕らの使う文字では、お前の中に母がいる。そして母よ、仏蘭西人の言葉では、あなたの中に海がある。
映画館からの帰り道、まんまとチキンラーメンを買った。