乗り換え2回

 そういえば、「パートナーのともだちは乗り換え2回」説を唱えたことがある私。
 電車の沿線ってそれぞれ特色があるけれど、それを個人に喩えてみましょう。その沿線に属する駅は、仕事や趣味といった、そのひとを構成する要素というふうに見なして。
 恋人だとかともだちだとかは、その駅をひとつか複数、共有しているべつの沿線ということでしょう?
「だったら、パートナーのともだちなんて、私から見たら乗り換え2回しないと行けない沿線の文化圏のひとよ。もしかしたら私の沿線と相互乗り入れしているかもしれないけど、その沿線にはどんな駅あるんですっけ、みたいな可能性のほうが高いわよ。そんなわけだから、私があなたのともだちと仲良くなれるなんて期待しないでちょうだいね」
 という持説を歴代恋人に主張して、自分のひとみしりさかげんを棚に上げてきたわけでした。
 乗り換えが2回必要な移動って気が重いですよね?(私は大宮−所沢間を移動するのに秋津と新秋津のあいだを歩くのが厭で池袋経由にするような人間です)
 それと同じくらい、パートナーのともだちに紹介される席も気が重いですよね?
 なのになぜ世の中の男の子って、じぶんのともだちにパートナーを紹介するのが好きなのだろう……。
 が、年を経るにつれてパートナー同伴で出席という機会が増え、そんなことを言ってもいられず。
 さいきんは、そういう席は「ぶらり途中下車の旅」くらいの心構え、つまり初めてのところこそ率先して行こう、知らないことに出会っても楽しもう、という気持ちでいれば、それほどつまらないことはない……ないだろう……ないといいよね!! と己を鼓舞して臨むに至りました。
 あ、でも先生の恋人さんが気を遣ってか「これからレイクタウンに行くんですよ」と話を振ってくれたのだけれど(私たちが埼玉県民だからか?)、レイクタウンに、というか県西に行ったことがないので、「ええと……何線ですっけ? 武蔵野線?」「しんこし……は東武?」「み…みさと?」「あれはIKEA*1」というぐだぐだな返答になりました。これは我が家から実質的に乗り換え1回の場所の話題なんだけれども。気遣いぶちこわし! せっかく、共有できる話題だろうと思って話してくれたのだろうにね。
 と、ここまで書いて気づいたのだけれど、もしかしたら、乗り換え2回って世間一般ではぜんぜん、物の数ではないのかもしれない。私は「乗り換え2回! たいへん!!」と大騒ぎだけれども、世のひとはもっとフットワークが軽くて、2回乗り換えなんてへっちゃらなのかも。「気が重いこと」や「縁遠さ」を喩えるのには不適切なのかも。
 すると「乗り換え2回説」なんて笑止千万な私の話をうんうんと聞き流してくれて、みんな心優しかったのかしら。
 心も体もひきこもりがちな自分を再確認した次第でした。

*1:しかも新三郷。