『ロシュフォールの恋人たち』

 ことし観た映画のなかでいちばん好き! ……って、約40年まえにつくられた映画なんだけど。『ドゥミ×ルグラン=ミュージカル女優カトリーヌ・ドヌーヴ*1というリヴァイバル上映を観てきました。数年まえの『ロバと王女*2を見逃したので、リヴェンジです!
 お話のほうは、ロシュフォールの恋人たち、というタイトルそのまま。近くにいるのに、なかなか巡り合わない運命の恋人たち。初めて出逢った瞬間、見つめあっただけで恋に落ちて、うれしくて踊りだすのを止められなくて……。ミュージカル映画の真髄ですね。もしも恋というものがこの世に存在しなかったら、歌や踊りもここまで進化しなかったのだろうなと思わせる、歌と踊りとはれやかな色彩に満ち溢れた映画。そしてさいごのさいごに最高潮が待っているという展開(このひとたちが双子姉妹とくっつくのね、というふたりが結局くっつかないとか、厭なやつ! と思わせた画商が旅立つヒロインに魔法のような祝福のことばを投げかけるとか、大団円のお話のなかで、少しずつ「はずし」があって、それがまた魅力的)。映画に歌って踊るシーンがあればそれだけで星ひとつ増やす私ですが、レイトショーだったので映画館を出たあと駅まで小走りで向かうあいだもまだ映画のなかにいるような、しあわせな気持ちでいっぱいだったのは、ひさびさのできごとでした。
 ミシェル・ルグランによる音楽は、ほんとうに、なにひとつはずれがなくて、どれもすてきだけれど、『キャラヴァンの到着』が、もう。あの曲! あれは、あなただったのね。あなたがどこのだれかもしらないうちから、私、あなたのことが好きだったのよ。と告白したくなるような気持ちがしました。
 ライラック色のドレスを品良く着こなしていたソランジュ役のフランソワーズ・ドルレアックカトリーヌ・ドヌーヴの実姉。どうりで双子役に違和感がないわけです。双子たちのママの襟元の、日ごとに変わるお花のコサージュや、ママのお店のウェイトレスのギンガムチェックのカフェエプロンがお洋服にあわせていろいろな色があるところとか、衣装も完全無欠の作品でした。ヒロインのドレスの裾から下着が見えているのにかわいいって、最強です。

ロシュフォールの恋人たち デジタルリマスター版(2枚組) [DVD]

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