尼門跡について勉強ちゅう

 展覧会『尼門跡寺院の世界』*1をあす観に行く予定なので、予習と称して図書館でいろいろと借りてきました。
 私の乏しい知識から想像する尼門跡は、「深窓の皇女たちがまだ稚いうちに出家し、恋もせずに御仏に祈るのみで清らかなまま生涯を全うする」です。禁欲的! 斎宮や斎院とも相通ずるものがありますが、こちらは退下したのち入内する例もあったので色恋とは無縁ではない感じ。尼ではない門跡はといえば、ぱっと思いつくのは御室の皇子、それも『とはずがたり』の「有明の月」のモデルだという性助入道親王なので、むしろ煩悩まみれのイメージ。
 うん、なにか偏ったり間違ったりしているのは自分でもわかるので、もうちょっと勉強したいのです。

中世の寺院と都市・権力

中世の寺院と都市・権力

 山川出版社の本を読むと、卒論に明け暮れていたころを思い出す……。
 しかしこれは、目次を見る限り曼殊院門跡と妙法院門跡を中心とした論文集のようで、尼門跡についての記述はなし。
朝廷をとりまく人びと (身分的周縁と近世社会)

朝廷をとりまく人びと (身分的周縁と近世社会)

 吉川弘文館の本を読んでも、卒論に明け暮れていたころを思い出す……。
「門跡に出入りの人びと」という章があり、門跡に仕える常勤家来等について詳しく述べられています。これを読むと、なるほど門跡寺院というのはただの寺院ではなくて、法親王という高貴なひとの活動の場であったのだなあと思います。
 この本はほかの章タイトルも目を惹いて、「堂上公家の部屋住み」だとか「摂家の家司たち」だとか「禁裏付武家」だとか。おお、いわれてみればあのひとたちってどうやって生活していたんだろう。あとでこちらにも目を通す予定。
京都千年〈4〉御所と別業―雅びの系譜

京都千年〈4〉御所と別業―雅びの系譜

 京都の御所や皇統貴族ゆかりの地を史料や和歌を引用しつつ紹介する本。門跡については十数ページのみでしたが、借りてきたなかではいちばんわかりやすく、読み物としてもおもしろかったです。
 門跡の起こりは、奈良・平安以降、貴族社会が膨張し、子弟のすべてに適当な官位を行き渡らせることが困難になったため、独自の階層性を持つ仏教界に進出するようになったのだとか。
 真言宗天台宗の多い門跡とは異なり、尼門跡には臨済宗が目立ち、あきらかに時代が違う感じを受けますが、これは朝廷が尼門跡寺院の開創や中興に力を入れたのが戦国期の終焉以降であったためで、このころは後陽成天皇Wikipediaで数えたら十三皇子・十一皇女!)と後水尾天皇(同じく十九皇子・十七皇女!!)の時代でもありました。つまり大量のお姫さま方の居場所が必要になったのですね。
(しかし、それならば『中世の寺院と都市・権力』に記述がなかったのも納得です)
 ……でも私の検索がいまいちだったのか、どうも、これ! という本に出会えず、知識が増えた気があんまりしません。
あやめ艸日記―御寺御所大聖寺門跡花山院慈薫尼公

あやめ艸日記―御寺御所大聖寺門跡花山院慈薫尼公

 この本は未読。平成十八年に九十六歳で亡くなられた大聖寺二十七代門跡の随筆をまとめたものだそうです。明治から平成にかけての皇室や旧華族にまつわる逸話が主眼? とするとこれも知りたいこととはすこし違うのですが、尼門跡について解説かなにかが載ってないかしら。図書館で借りてみようと思います。