『わたしの和道具帖』

 この本は、文体がなんだか独特で。

わたしの和道具帖―懐かしいけど現役だい!

わたしの和道具帖―懐かしいけど現役だい!

 元気がむやみにいっぱいの口語体というか、たぶんけっこうお年を召した方だと思うのだけれど、ボーイッシュというか、ひと言でいうと「イカ天のころの相原勇」のような雰囲気で、読んでいてうろたえてしまいます。
 しかも私、こんな文体、はじめて読む気がしない……。おきものにまつわる本でも読んだことがある……。ああ、どうして「和」関連のひとは文体が相原勇である確率が高いんだろう……と、がっくり落ち込んでいたらですね、以前読んだそのおきもの本も、このひとの著作であることが奥付にて判明。
きもの、着ようよ! (ちくま文庫)

きもの、着ようよ! (ちくま文庫)

 よかった……文体が相原勇なひとは、ふたりはいないのね。ひとりだけなのね。
 いつか買おう! 黒文字の菓子楊枝!! 樺細工の茶筒! 乱れ箱に葛籠!! と、あこがれの和道具をふやしてくれる良い本だし、『きもの、着ようよ!』は、大島紬とほかの紬についての記述がわかりやすかったし、内容としてはすてき。著者のほかの本も、おもしろそうなテーマがたくさんあるのに、文章が相原勇節かと思うと、手が伸びません。もったいないことだなあ。