『獣の奏者』
例によって、BGMがわりにETVをつけっぱなしの生活で、さいきんとくに気にかかっていたのが、『獣の奏者エリン』です。
子どもむけなのに、どことなく暗い雰囲気の作品だとはまえまえから思っていたのですが、回が進むにつれて、その雰囲気がますます顕著に。スキマスイッチによるOP曲は、スキマスイッチぽくない暗い詞と曲調で、元ちとせが歌うその別アレンジは、もはやなにかの呪術の儀式のための音楽のよう。ヒロインはぼそぼそと低い声で話してヒロインぽくないし、女王の甥が独身で優男で石田彰だなんて、悪巧みをしないわけがない! この世界はどういう設定なんだろうと気になって、まず『闘蛇編』を購入。
- 作者: 上橋菜穂子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/08/12
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解説で北上次郎が小野不由美の『十二国記』をひきあいに出していたけれど、「もとは子ども向けレーベルで出版されたのにおとなのおじさんの鑑賞にも堪えうる」というくくりなのかなあ。しかし、そう喧伝されて、いわゆるおじさん読者を獲得して以降の『十二国記』の停滞ぶりを見ていると、もう、そういうふれこみはどうだろう、と思います。
で、原作を読み終えてからアニメを見て、「おとなし笛」って、「音無し笛」だったのね! と、いまさら、気づきました。獣たちをおとなしくさせるから「おとなし笛」なんだと思っていたわよのさ。はずかしー。
あと、これはぜひ、絵と音つきで見てみたい! と期待していた「……わたしは、知らないのよ」というシーンが、あっさりした演出で流されていて、だいぶ残念でした。ひとの好い老女王、が秘めていたぞっとするような長いながい年月の不安を表していて、好きなせりふだったのです。