"Little House in the Big Woods"

 先日、『ムーミン』の読み損ねていた一冊を読んで以来(id:moony:20100109)、「子どものころに読み損ねていた児童文学を読もう」という気運が個人的に高まり、いまは『大草原の小さな家』シリーズに挑戦しています。
 といっても翻訳版はどれを読んだらいいのかわからなかったので、ガース・ウィリアムズの挿絵がフルカラーでうつくしい、この本です。

Little House in the Big Woods: Full Color Edition

Little House in the Big Woods: Full Color Edition

 どうして「挑戦」かというと、読むだけじゃなくて、拙いながらも自分で訳して、その文をノートに書き留めているからなのです。一文一文短いし、構文も難しくないので、ただ読むだけでも意味はわかるんだけど、それをこなれた日本語におとしこむのがとても難しいです。ああ翻訳って、学生時代の英文和訳とはまったく次元の異なる行為なんだなあ。「外国児童文学の日本語訳はかくあるべし」的な文体が頭のなかにはすでにあるのに、それになかなか近づけられません。下訳レヴェルというのもおこがましい、かちこちの文章にしかならなくて、自分の、日本語能力の低さに気が滅入る作業。でも、原文から立ち上ってくるお父さんの魅力や、生き生きとした生活がおもしろくて、続けられています。
 ほかに手ごわいのは、この時代特有の、あるいは開拓者生活特有の単語です。野生の熊を仕留めるための鉄製の罠だとか、日本語でさえ各部品をなんていうのか知らないよう。必死でGoogleで調べました。しかし、断言しよう。今後一生つかわない知識であろう、と! 「車輪つきのベッド」も、最初、なんのことだかさっぱりでした。大きなベッドの下から引き出しみたいに引っ張り出すベッドなんですね。
 子どものころ、学校の図書室に『ビジュアル博物館』というシリーズがあって、テーマごとに写真満載の眺める事典のような良書でしたが、あれに「開拓者生活」がテーマの巻があれば、いま、ぜったいに買うのに……という気分。
 それに比べると、秋の終わりに豚を一匹〆て食肉処理するとか、牛乳を撹拌してバターをつくるとかは、自分でやったことはないけれど、想像するのが難しくないので、食生活や料理というのは、根本的なところではあまり変化や進歩のない分野なのだなあと思います。
 この作業の意外な効能としては、寝るまえにすると、気持ちが落ち着いて、寝付きがすっごくよくなるということです。寝る直前までPCでネットしているのとは、雲泥の差なの! 易しい内容のせいなのか、それとも脳みそのゆったりしたところしか使わない作業なのかしら。ベッドのなかでちいさなノートにちびちびと訳を書き足していくのが、ここのところの就眠儀式です。