台湾一日目。あるいは、新たな心残り

 台湾に行ってきました。数年ぶり、二度目です。
 前回は、同行した主人(そのときはまだ主人じゃなかった)が熱を出したため、ツアー日程のほとんどを現地でキャンセルするはめに陥ったので、いろいろと心残りがあり、この年度替りに転職する主人の、ぜんぜん使えずにいた有給休暇の消化に、もういちど行ってみることにしたのです。
 最大の心残りが、この街でした。


千と千尋の神隠し』にでてくるような、懐かしく幻想的ですこし猥雑な雰囲気の街並み。
 タクシーの運転手さんにここから行っておいでと降ろされたのが、建物と建物のあいだの、裏道のような路地の入り口で、これがうねうねと水平にも垂直にも曲がりくねった、ひとを迷わすためにあるような細い細い道につづいているのでした。道の両側は、一風変わった、ふしぎな食べ物を売るお店や屋台が軒を連ねています。
 その細道のおしまいの、懐古趣味な茶芸館でお茶。

 調度品も古風で、扉の外には露台もあって、すてきな建物だったのですが、この日はあいにくのお天気でした。でも、霧でぼやけて、いまにもだれかが街のどこかで神隠しにあっていそうな雰囲気でした。
 このあたりは趣のある茶芸館が多いので、半日といわず、一日くらい時間を充てて、お茶を飲んだりご飯を食べたり、はしごをすればよかったなあ。
 あと、この茶芸館のお向かいのお土産屋さんが、安っぽくもかわいらしい、がらくたのような品々が多くて(ほめています)、台湾で見かけたなかではいちばん好みでした。なのに、まあ、こういうところはほかにもまたあるでしょうと見逃してしまって、結局、おなじようなお店はほかでは見つけられず、大いに後悔しました。
 ということで、新たな心残りが生まれてしまいました。