おいしいたべものと、やさしいひとたちの国

 台湾二日目の朝。朝ごはんを食べに、お粥で有名なお店にタクシーで乗り付けたら、なんと、営業時間外でした。
「残念だったねー、ここ、おいしいんだけどねー。でも、あっちにもおいしい店があるよ!」
 というようなことを運転手さんに現地語でいわれたので(ひと言たりとも聞き取れなかったけれど、だいたいそんな意味だと受け取りました)、車を降りて、数軒隣の、豆乳のスープのお店へ。
 店内にいたおばさんにおすすめのメニューを教えてもらって、そのほかにもあれやこれやと注文したのですが(リスト状の伝票で、食べたいものにチェックを入れていく方式でした)、私たちがカウンターに出した伝票を一瞥するや、おばさんがそれをむんずと掴んで私たちのテーブルにやってきて、
「あんたたち、お腹減ってるのっ?
すっごくすっごく減ってるの?!
これ、四人ぶんの量だよ〜!」
 というようなことをカタコトの英語で教えてくれたので、えーっ! となって、慌てて何品かキャンセルし、どうにか軽く三人前くらいの量に。
 で、わざわざ教えてくれるなんて、親切なお店だねえと主人と話していたら、店員だと思っていたそのおばさんがテイクアウトのお会計をしてあっさりと帰って行ってしまったので、じつは店員さんでもなんでもない、ただのお客さんだったらしいというのが、このお話のオチです。
 おばさんのおすすめの料理は、どれもおいしかったです。
 台湾は、おいしいたべものと、やさしいひとたちの国だなあと思った次第。


 写真はできたて小籠包。おいしくないわけがない。