交換日記をしたりした手帖

 先日の古本市以来、私のなかで盛り上がっている製本熱ですが、とうとう、一日体験レッスンに参加してきてしまいました。
 作製したのは、背表紙の丸い、クロス装のメモ帖です。サイズは文庫本よりすこし小さいくらい。
「表紙に好きな紙を貼り込めるので、持参してください」とのことで、手持ちのかわいい柄の紙やカードなどをいくつか適当に見繕って持っていったのですが、適当すぎて、横幅がメモ帖の表紙より大きく、そのままだとはみ出してしまうものばかり。九十度回転させても違和感のない柄の名刺カードを貼り込むことにしました。
 クリーム色の無地の本文用紙は用意してあり、クロス、見返しの紙、しおり紐、花布は、それぞれ用意されたもののなかから選ぶことができます。クロスにあわせて、しおり紐や花布や見返しの色を選ぶというのは、帯にあわせる帯締や帯揚、あるいはきものの下の長襦袢を選ぶのにも似て、チラリズムのようなところもあり、とても楽しいものでした。
 戦前の女学生が、好きな詩歌を書き写したり、お姉さまとの交換日記をしたりした手帖、つつましやかな感じ、というイメージで、こんなふうに。


 見えないけれど花布はピンク、見返しはクリーム色です。
 作業のほうは、本文紙を裁断し、糸で綴り合わせるところから始まったのですが、手順を追うのだけで精いっぱいで、きれいに仕上げるよう心がけるという域までには至らず、できあがりは小口ががったがた。しかし、丸背の本って、ただ背を丸くしているというわけじゃなくて、そもそもこういう仕組みで丸くなっているのねえ、というのは、たいへん勉強になりました。
 じつは、貼り込みも、やるまえはあんまり気が乗らなかったのに、やってみると意外に、いいかんじ。さきに読んでいた製本のやり方の本にある貼り込みの作例があんまり好みではなかったので、よいイメージを持っていなかったのですが、食わず嫌いでした。
 やはり本を読むのとじっさいに作業しながら教わるのとでは情報量に天と地ほども差があって、製本に使用する道具をじっさいに手にとって使用できたり、この工程にこの道具を使用する理由はなんですか? と先生に質問をできたり、得るものが大きかったレッスンでした。教室内にはほかに受講者の方が数人いて、それぞれの作品、お手製のマーブル紙をつかっての革装や、和紙を貼る函などを見せてもらうのも、とても興味深かったです。
 丸背ではなく角背の製本のやり方や材料の選び方も教えてもらったので、計画実行に向けて一歩踏み出した気分です。