集団中毒の様相

 きょうはオプショナルアツアーで、カプリ島へ行きます。
 早朝にローマを発つので、朝食をホテルで食べているひまはありません。パンやフルーツ、チーズを包んでもらったのをフロントで受け取って、バスのなかで朝ごはん。
 この日はローマはあいにくの雨。が、カプリ島見物の目玉、青の洞窟へ行けるかどうかは現地についてみないとわからないので、とりあえず向かいます!! ……との添乗員さんの発表でした。
 ローマからけっこうな長時間バスに揺られたのち、雨のナポリの港へ。そこからはフェリー。
 フェリーの客室にも世界じゅうからの観光客がいましたが、スペインからのおばちゃんグループが、とりわけおもしろかったです。まず、「Staff Only」と英語とイタリア語で書かれた席にちゃっかり座っている。フェリーが動き出すと、高波のせいで船が揺れる! と、おばちゃんたち、大笑い。窓に波がざっぱーんとかかる! と笑い、あらやだここって船員さんの席じゃない?! といっては笑い、やだもースペイン語で書いてよね! といっては笑っていて、船の揺れもさることながらおばちゃんたちのウケっぷりがすごいので、つられてほかの乗客たちも笑いだし、さながらワライタケの集団中毒の様相に。岡田あーみんの漫画なみのカオス。
 着いたカプリ島は、雨雲が強風に流されてみるみる空の青が広がるのですが、高波のため、青の洞窟は見学中止。
 そうするとカプリ島はもう、観光の代替地があんまりないみたい。山のうえのほうにある、スウェーデン人の医師が住んだヴィラ、というところへマイクロバスに揺られて行きました。地元民の患者さんが診察代のかわりに持ち込んだ古代ローマの出土品などがインテリアに使われていて、独特の雰囲気。
 そのヴィラから観た海の眺め。北欧から来たひとに、この青はさぞかし眩しかったことでしょう。


 青の洞窟を見られなかったのは残念だけれど、そのかわりにこの景色を眺められたので、よかったかなあと思わせるような力がありました。
 昼食は山の中腹のレストランで。同席した方が、香港にお住まいの日本人夫妻で、一泊三日の弾丸ツアーでイタリアにいらしたとのこと。その距離と日程なら私、日本で過ごしてしまうなあ。世界には元気なひとがいるなあ、と感心した次第です。