『天使と悪魔』
ローマの現地ガイドさんに聞いていたとおり、ヴァチカンのセットの再現ぶりがすばらしい。おお、ここもあそこも行ったねえと楽しく観ました。立ち寄りたかったけれど日程的に果たせなかった聖アンジェロ城も、たくさん映っていたのでうれしかったです。
現地ですさまじいニアミスをして、人生でこれまでこんなに後悔したことはない!! と嘆いていたベルニーニの『聖テレジアの法悦』が、映画の中で重要なアイテムとして扱われていました。悲嘆にくれる私を目の当たりにしていたものの、いったいどういう彫像なのかは知らずにいた主人が「ようするに、エッチな彫刻なの? 絹子はエッチな彫刻が観たかったの??」と男子中学生のようなボキャブラリーで訊いてくるので辟易。本来ストイックな存在であるべき聖女が宗教的エクスタシーを感じている様子がまるで性的なそれのようで倒錯的なエロティシズムをはらんでいる……ぐらいに婉曲な表現をしてほしい!!
……と、映画としての感想があんまりないのですが、なんだろう、よくまとまったハリウッド映画じゃないかなあ。何人か、とても怪しげに登場するので、きっとこれミスリードなんだろうなあ、と思っているとそのとおりとか、安心設計。ゆいいつ不満を述べるなら、ヒロインが科学者のうえ宗教の知識も豊富という設定で、べんりすぎるということくらい。
作中で行われているコンクラーベ。教皇ベネディクト16世が選出された2005年のそれが記憶に新しいので、そりゃあ作家にとっては創作意欲を刺激される出来事だったことでしょう、と早合点していたのですが、調べてみると原作はそれより数年まえ、まだヨハネ・パウロ2世が存命だった2000年に書かれていたのだそうです。ちょっと意外!
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