『バットマン・リターンズ』
昨日にひきつづき(id:moony:20110619#p1)、『バットマン』まつり、第二夜です!
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(1作品にヴィランがふたり、というのは、これ以降ずっと『バットマン』映画のお約束になりますね)
キャット・ウーマンに対するときのバットマンは、いつもすこし戸惑ったり困ったふうなのがほほえましかったです。そりゃあ、こまるよ、あんなのがいたら……。
一方、ペンギン!
ペンギンの出生時の事情を描くオープニングから、その最期まで、監督の感情移入がバットマンよりこちらがわに激しかったのがありありとわかる映画でした。
飛べない鳥と、鳥で獣でもないコウモリ。ペンギンとバットマンは「はぐれもの」感が共通しているんだけど、ブルース・ウェインという顔でゴッサム・シティの表側を生きることができるバットマンとは違って、ペンギンは陽のあたる場所に自分の居場所をつくりださないといけなかったのね、というのがちがうところ。
前作と比較すると、舞台装置が豪華になったというか、雰囲気満点というか。いかにもつくりものめいた書割の摩天楼の谷間の、箱庭的なゴッサム・シティ。廃園となった動物園。不気味なサーカス団。螺旋階段。鳥かご型の檻。エドワード・ゴーリーの絵本の挿画のよう。
ペンギンが過去の出生記録を書き写している役所の窓の外を、バットマンがバットモービルで通り過ぎる(それも、真昼間!)カットは、もう、どこからつっこんだらいいのかわからない状況設定なのに、窓の外を左から右へバットモービルがゆっくり通ってゆく、いたって平凡な撮り方をしていて、まるでごくあたりまえな光景のようにまぎれこんでいるのですよ。それがむしろ、ゴッサム・シティってもう、ぜーんぜん違う次元の世界にある街なのだな、いま自分のいるこことは地続きではないのだな、という説得力があって、印象的でした。
そしてバットマンといえば、あの「ででででーでん」(わかって!)のテーマソングですが、ダニー・エルフマンの音楽って、とくにバートン作品では、星が瞬くような鉄琴の音のせいで、残酷なおとぎ話を、機械仕掛けの人形劇で見せられているような気分になります(エルフマンのほかの仕事ではそんなふうに感じたことがないんだよね。『スパイダーマン』とか)。そういえばペンギンはダニー・デーヴィトという人間がたしかに演じているのに、実写というよりパペットみたい。
「バートン版のバットマン」というイメージのあれやこれやは、前作よりもこの『リターンズ』でかたちづくられたのかも……。
ところで、ブルース・ウェインの豪邸には、バットケーヴへの隠し扉を開くひみつの仕掛けがつきもので、このギミックは作品ごとに変わります。個人的には、歴代作品のなかでこの作品のものがいちばん好きでした。書斎にある水槽のなかに豪邸のレプリカが沈んでいて、そこに隠し扉を作動させる釦があるのです。
(と、ここまで書いていて思い出したけど、『ビートルジュース』でも、登場人物の住まいと、そのレプリカが登場したのでした。セルフパロディなのかな)
野心家のシュレック役はいわゆるヴィランじゃないのに俳優さんがいい味を出しているなあと思ったら、『スリーピー・ホロウ』で首なし騎士を演じたクリストファー・ウォーケンなのね。こちらも再鑑賞してみたくなりました。
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