『南極料理人』

 寒い時季なので、寒い場所が舞台の映画を観ようかと。

南極料理人 [DVD]

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「おっさんたちが大自然のなか、集団でわあわあやったり、わしわしごはんを食べたり」というシチュエイションにはなにかデ・ジャ・ヴュを感じたのですが、記憶を洗ったところ、椎名誠の『わしらは怪しい探検隊』シリーズでした。すると、堺雅人演じる、南極基地の調理担当である主人公は、林さんポジションなのかしら。
 基地に赴任したばかりのころ、せっかくの料理なのに、他の隊員たちが卓上調味料を無頓着にばんばん足して食べるの見て、つっこむこともできずなんともいえない表情でいる堺雅人の、ほほえんではいるけれどうさんくさい顔が、ザ・堺雅人という感じで、いちばんの見どころでした。
 と、そんなよそよそしさで始まった南極生活も、ときが経つにつれ、堺雅人がおかんと化し、疑似家族体制へと至るのですが。末っ子相当の隊員のジャージをかってに履くって、おかん以外の何者でもないよねえ。このシーンでの生瀬勝久のおとんっぷりと、きたろうのおばあちゃんっぷりもまた、みごとなのでした。
 大笑いしたり感動したりする映画ではないけれど、子役の堺雅人への暴力が容赦も遠慮もなくてとても演技に見えず感心してしまったり、ちょこちょこと目を瞠る場面のある作品です。
 南極大陸の探検、とくに南極点の人類初到達については興味あるので、くわしい本を読んでみたいです。でも、とてもこんなゆるい雰囲気じゃないんだろうなあ。