2013年3月に読んでいた本

 1911年、人類初の南極点到達レースに勝利したアムンセンと、負けたうえに帰路、自身を含むパーティが遭難により全滅という憂き目にあったスコットに関する本です。

 アムンセン隊とスコット隊に関する本は、以前、かんたんな英語の本を読んでいまして、
The Coldest Place on Earth (Oxford Bookworms Library)

The Coldest Place on Earth (Oxford Bookworms Library)

 そのときとてもふしぎだったのは、
「スコット隊はどうして犬ぞりの犬の肉を食べなかったの?」
 ということでした。そうすれば遭難は避けられたのでは? それとも、実際には食べていて、ただ本には記載がないだけ?
 ……と、長年疑問に思っていたけれど、今回、なぞが解けました。スコット隊、犬ぞりの犬が死んでもその肉は食べなかったんだって。でも荷物を運ぶ馬が死んだときだけは馬の肉を食べたんだって。一方のアムンセンは、犬肉を食料として計算にいれたうえで出発、道中は荷物が減るにつれ犬の数を調整して食料にしつつ進んでいったのだそう。
 スコット、イギリス人。
 アムンセン、ノルウェー人。
 あー、食べものに対する保守性がまったく違ったっていうこと?
 と、同じ捕鯨国のよしみで、なんとなくアムンセンをひいきした感想を抱いてしまうのでした。
 もっとも、スコット隊遭難の直接原因は、食料不足というより、それを加熱する燃料を保管していた容器の不具合による、燃料不足でした。そういった携行品の改良だとか、選抜パーティのメンバーの選び方、士気の保ち方も、アムンセンはうまくやっていたのにスコットは悉くいまひとつなんだよねー。なんとなく、「負けにふしぎの負けなし」ということばを思い出しました。
 でもスコットの遭難後、イギリス本国では人類初南極点到達の偉業はアムンセンによって「盗まれた」といった認識があったそうで、招かれて行ったロンドンで、アムンセンはけっこうえげつないことをいわれたりもしたみたいです。どうなのだろう、アムンセンがいなくてもスコットは失敗していたのでは。それとも競争相手がいるというプレッシャーが影響を及ぼしたところもあったのか。それはもう、永遠になぞ。
 以前J.M.バリの本で読んで*1ちょっと期待していた、スコットとバリの交友については、この本には載っていませんでした。ざんねん。でも二十世紀初頭って、いまにつづくこの時間と、おとぎばなしと冒険譚がいりまじっているさいごの時代って感じ。ちなみに、アムンセンは、この冒険から約二十年後、北極付近で遭難した飛行船を捜索しに飛行機で出かけたまま、消息がわからないのだそうです。これまたフィクションのなかのひとみたいな最期ですこと!

2013年3月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:1441ページ
ナイス数:44ナイス

ヴィヴィアンの楽しいドミノ編みヴィヴィアンの楽しいドミノ編み感想
ドミノ編み、編みつなぎ方がおもしろい。以前、四角モチーフを四色くらいつかうマットをかぎ針編みで編もうとして、ひとつずつ輪をつくるのがめんどうで放置したけれど、ドミノ編みならかんたんそう。あと、和装に合いそうな編み地だと思う。
読了日:3月2日 著者:ヴィヴィアン ホクスブロ
もっともっとドミノ編みもっともっとドミノ編み感想
L字型モチーフおもしろい。表紙のバッグもそうだけど、フェルト化すると、一見して編んだとは思えない、なぞの素材に見える。
読了日:3月2日 著者:ヴィヴィアン ホクスブロ
四季を楽しむ輝美のお人形さん四季を楽しむ輝美のお人形さん感想
フェルトの犬はりこ、珍しくてかわいいです。
読了日:3月2日 著者:大高 輝美
ONE PIECE 69 (ジャンプコミックス)ONE PIECE 69 (ジャンプコミックス)感想
シーザーは、いやーなやつ、ということをいかに表情で表現するかに尾田っちが凝っているみたいに、すごい顔させられてるコマがちょくちょくあるよねえ。ワンピのいままでのキャラクターとも違った系統の顔立ちだし、印象的です。サンジくんはあんなに女性が好きなのに、たしぎだのモネだの女性とがっちり絡むエピソードはゾロ担当なんだなあという点がおもしろいです。
読了日:3月6日 著者:尾田 栄一郎
永遠の定番ニット永遠の定番ニット感想
編み込み模様のカーディガンがすごくかわいいんだけど、実際に作ったとしても、たぶん着こなせそうにない。
読了日:3月6日 著者:
アムンセンとスコット―南極点への到達に賭けるアムンセンとスコット―南極点への到達に賭ける感想
それぞれ南極点を目指したタイトルのふたりの探検隊のうち、一方がどうして成功し、他方がどうして失敗したのかがよくわかった。
読了日:3月15日 著者:本多 勝一
神は細部に宿るのよ(3) (ワイドKC)神は細部に宿るのよ(3) (ワイドKC)感想
昨今の冬物のシフォン率の高さは多機能インナーの開発によるものっていうのは目から鱗でした。黒タートルはもはやインナーとしてしか着れないというのも素材の進歩に理由がありそう。ファッションに対する新技術の影響って切り口はおもしろいなあ。そして私もお洋服の自費購入デビューはスズタン組。シャーロック・ホームズの横顔に作者の気合いと愛を感じます。
読了日:3月15日 著者:久世 番子
町でうわさの天狗の子 10 (フラワーコミックス)町でうわさの天狗の子 10 (フラワーコミックス)感想
三郎坊でキャーッとなって、福山様でギャーッとなって、巻末は怒涛のネオロマンス展開でした。清水寺のエピソードではジブリ映画の飛行シーンを連想したり。それも『ハウル』。帯だと秋姫の足元だけ切りとられているのが、不安で孤独な感じ。
読了日:3月20日 著者:岩本 ナオ
30歳からの暮らし方 (天然生活ブックス)30歳からの暮らし方 (天然生活ブックス)感想
タイトルに惹かれて手に取ったけれど、「30代らしい、ある程度成熟したライフスタイルを提示する本」…という予想とは違い、あくまで著者が30歳のときにどんな暮らしをしていたかのエッセイにすぎなかった。そして内容も、「まあ、30歳夫婦ふたり暮らしって、そんなもんじゃないの?」という程度の、目新しさに欠けることばかり。あんまりおもしろくなかった…。この本を読む時間で、べつの本を読んでいればよかったなあと思ったのは、ひさびさの経験です。
読了日:3月26日 著者:柳沢 小実

読書メーター

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