初雪のように、淡雪のように
部署の若い子たちだけで飲んでいたら、隣の部署も同様の集まりで近くで飲んでいるという情報が入り、急遽合流。
この流れ、なんだか憶えがあるわあと思っていたら、昨年の忘年会もそういうことになったのだった。
それでいちねんまえと同じように、いちねんぶりに、Hくんとお話することになった。
(Hくんって、そうか、去年は新人くんだったのか! それで忘年会を辞去するタイミングを計り損ねていたふうだった)
そういえば、去年、クリスマスに女友達にディズニーランドに誘われていて……って言っていたのはどうなったの? 気がないくせにクリスマスをふたりですごすのは期待させるみたいで酷いと思ったものよ、と水を向けたら、あの子とはけっきょくなんともならなくて、いまはぜんぜんべつの彼女がいます、あのときの舞浜は寒かったですよ、というおへんじ。Hくん、さらっと酷い男だった。やなやつねー、と、いじめた。
「また来年のクリスマスのころ、こうやってお話しましょうね!」
「またこうやっていじめるんでしょう?」
ふたりで話していたのは十分くらいだった。風のように去ったわ私、と、スカーレット・オハラきどりで家路についた。
ひとつの冬にいちどきりの初雪みたいに、手のひらに落ちた途端とけてしまう淡雪みたいに、かすかな触れ合いだけで生きていけたらなあ。