初雪よりまえに春一番が吹くでしょう、と予報されたヴァレンタイン・ディは、夕方から風雨の激しい嵐になった。
 冬から春へのうつりかわりって、外科手術的な、0から1に変わるようななにか劇的なことだったんだわ、と思い出した。





 そしてことしにはいってなんどめかの訃報。
 つい先週、やっぱり職場の同僚の身内に不幸があって、連名のお香典をとりまとめていたとき、
「筆耕の字っていうのはやっぱりきれいなもんだなあ」
「そうですねえ。マネージャ、こんどいっしょに日ペンの美子ちゃんをはじめましょうよ」
 と話した、上司のお母さまなのだった、こんどは。
 あのときふたりでもたもたと書いた筆ペンの字、とか。思い出した。





 きょうのゆうごはんは、ふきのとうの天ぷら。
(ふきのとうの苦さって、残雪ってこんな味かしらと思わない?)





 プルーストは、ふたたび行方しれずです。