うそは桜の味がするらしい

 ふつか連続でお花見。
 でも、きょうはまるいちにちのオフ、半幅帯だって締めちゃう。ここ数ヶ月、普段着というものを着ることが滅多になかったので、つい気合がはいってしまう。





 きょうお花見に行かなかったらいつ行くのよ、とだれかが喋っているのを、きょうのいつか、どこかで小耳に挟んだ。
 同感です。
 ことし初詣に行った地元の一宮の隣は桜の名所として有名な公園。これまでなんども来ていたのに、桜の季節は初めてで、あの見慣れた緑溢れる風景にはじつはこんなに桜色が隠れていたのね、とびっくりした。まるで春以外のすべての季節のあいだずっとを使って騙されていたみたい。
 桜は咲くそばから散って、桜吹雪の舞い起こるたび、その綺麗さを讃えるような、儚さを惜しむような声がそこここで洩れた。





 夜、ごはんを食べたお店で、デザートの盛り合わせの、薄ピンク色のジェラートを食べてIくんいわく、「この苺のアイス、おいしいよ」。
 どれどれ、と私もひと口食べてみたら、……苺だなんて。それは桜の味がした。エイプリル・フールだったらしい。