夏休みみたい

 朝、きゅうに思い立って、髪を切りに行く。休日の午前ちゅうの美容院はお客さんもまばらで、光が溢れていて気分がいい。学生時代からお願いしている美容師さんがこんどお店を辞める、再就職先も決まっていないというので、「それでは私がこまります」という会話と、つぎのお店を教えてもらえるようアドレスの交換をする。
 そのあと街をうろうろ。手芸屋さんでとてもかわいらしい貝釦を見つけたけれど、ポシェットにおさいふとハンカチを入れて、あとは日傘だけ提げてきたので、お店の会員証を入れているカードケースがきょうはなかった。同様の理由で貸出カードもなかったので図書館にも寄らず、往きと帰りで荷物が増えないまま帰宅。
 しょうがのはちみつづけが残りすくなになってきたので、生しょうがをスライスして、あまりもののはちみつの瓶に入れる。固まってしまったはちみつは、ガラス瓶ごとお鍋に入れて火にかかればよい、ただしお鍋に入れるのはお湯ではなくお水から、ということを知る。ああ、はやくはやく、しょうがのひとひらひとひら琥珀色に透きとおらないかなあ。





 蔵書を整理するべく段ボールに本をつめていたら、うえのほうは北村薫森博嗣なんだけど、したのほうは久生十蘭小栗虫太郎 や『新青年』のアンソロジーという、なんだか呪いのアイテムっぽいひと箱ができた。成果としては、つめおわった段ボール5個に対して、あいまに読了してしまった本11冊、本のあいだから見つけた絵葉書はポール・デルヴォーいちまい、というところ。『おにいさまへ…』は処分できないと思った。
 お隣からはひさびさにピアノの音が聴こえた。ゴールデンウィークも残るところあしたいちにちだけ、というよりは、夏休みが終わってしまいそうな雰囲気のいちにちだった。