Take the "A" Train

 免許センターへ行くのに、GW明けそうそう午後休をとる。更新の期日があさってまでだった。免許センターの最寄り駅で電車を降りたら、免許を取得したあの日、「この街にくることはもうないのだろう……」と思いながら去ったときの気分がなまなましく蘇ってすこし呆然とした。二年前の私は無知でした、初回の更新が警察署ではできないことも知らなくて。
 じつは、コンタクトの度がだいぶ合っていなくて、視力検査に落ちたらどうしよう、念のためおニューの眼鏡も持参したけど再検査なんてありなんだろうか、と心配していたけど、もうぜーんぜん、てんで適当な検査。杞憂だった。ベルトコエンベアのうえを流れる幕の内弁当のようにもろもろのステップを通過してあたらしい免許証を手に入れた。
 こんどの更新はつぎのつぎのつぎの春らしい。





 それにしても、年度がわりの時季に誕生日が来るのは難儀。いまの仕事は私の誕生日の前後、二ヶ月が忙しさのピークなので、ちょうど免許の更新とかさなるのだ。
 やっと更新してほっとしたけれど、自分の「ほっ」としぐあいに自分でびっくりした。こんなに気にして、この二ヶ月すごしていたなんて。
 そういえば誕生日も忙しいまっただなかだから毎年うじうじしている。
 ことしの年度の切り替えは比較的らくだったからよかったけれど、もし更新のタイミングが去年だったら、ほんとにほんとに忙しくて失効していたかもしれない、とか、とか、とか。
 いろいろ考えながら、それでも免許センターの帰りみち、電車のなかですごく気分が良かった。ここのところ仕事で電車の移動が多くて、そのたび暗い気持ちになっていたのがうそみたいだった。
 でも私、暗い気持ちで客先を訪問しても、その街の大通りの藤棚がきれいだとか、お城の跡地があるとかで、ふっと厭な気分を忘れて、いまの仕事好きかもと思ってしまう。そういうのが、きっといけないところ。