花のような雪のような

 まるまると青い梅の実のどっさり入った籠が台所にあったので、どうしたのこれ? と母に訊くと、家の庭の梅の木からとったという返事。ああそういえば、この時季の雨季を「梅雨」と書くのは梅の実の収穫期だからとは耳にするけれど。この家に住んで二十年にもなるのに、こんなに立派に実をつける木が庭にあるとは知らずにいたなあ。
 でもこの夏、庭の半分をつぶして離れをつくる予定なので、梅の木は倒してしまうのだという。もったいない。
 梅の実は梅酒になるらしい。





 ここ数日かかりきりだった刺し子の花ふきんをやっと仕上げた。かんたんそうなので初挑戦してみた刺し子だけれど、手慰みにはちょうどいい難易度。針を動かしていると麻薬的にやみつきになる。
 白い布に白い糸だとシンプルでかっこいいんじゃないかしらと思っていたのに、じっさい仕上げてみたら地味で貧相だった。しょんぼり……。でも図案は大好きな麻の葉の模様。六枚の花弁をもつ花のようにも、雪の結晶のようにも見えるのに、よくみれば果てしなくおなじ二等辺三角形のみで構成されているという、お気に入りの文様です。