あといくつかの春と夏と秋と冬

 レポートが帰ってきた。再提出はまぬがれた。ほっ。
 でも、一章ぶん、正解とはまったく正反対に答えているところがあった……。どうしよう、これ。たんなるマークシートの塗りまちがいだといいけれど。問題文を見返すのがすこし、いや、だいぶ怖い。





 いまどんな勉強をしているかというはなしは、取引先との雑談のなかで、たまに、もらしたりする。
 反応としてはおおむね好評で、ぜひ勉強をまっとうしなさいと激励されたり、キャリアプランとしては間違っていないとおほめのことばにあずかったり。きょうは、とうとう、「うちへ来ませんか」というお誘いをうけてしまって、さぁこまった。
 そりゃあ、転職につなげようと思ってはじめた勉強だもの、一瞬、なんたる渡りに船かしらと心がぐらついた。でも、よりによって、声をかけてくださったところというのが、そこが掲げているイデオロギーは私は受容できないなあとつねづね感じていた取引先なのだった(そんなことふつうの生活で感じるなんて、よっぽどのことがないかぎりありえないと思うでしょう。でも、その、よっぽどなのです)。あ、でもつぎのステップのための布石として、腹をくくってそこに数年在籍すればいいのか? おお。揺れる、揺れる。
 そうやって声をかけてもらえるということは、ふだんの私の働きぶりがちゃんと外部のひとに評価されているということ、とうぬぼれてもいいんだろうか。二年後もつづけている気はさらさらないいまの仕事だけれど、そんなふうに見てもらえているのなら、あといくつかの春と夏と秋と冬、がんばっておこうという気がする。