三年前の花火の夜に

 髪を切りに行った。学生時代からのお付き合いの美容師さんが、お店をやめて、つぎのお勤め先は未定というので、後輩くんを紹介してもらったのだ*1。お店で挨拶したら、このサロンに通いだしたころはまだアシスタントくんで、お茶を出したりシャンプーしてくれた男の子だった。
 あの男の子が、もうお手伝いじゃなくて、一人前の美容師さんなのねー。そのほか、べつの美容師さんに「絹子さん、こないだ埼スタでお見かけしましたよ*2」といわれて、えっ、担当していないお客さんの顔も憶えているものなの、と、いろいろなことにびっくりしたけれど、幼稚園の年長さんが中学生にあがっちゃうくらい期間、通っているのだもの、それもそうか。
 いつもはおまかせで切ってもらうんだけれど、さすがにはじめてなので、好きな長さやシルエットや色についてことこまかに説明したら、そのどれについてもどまんなかの、すばらしい仕上がりだった。
 好きな髪形をしている自分の顔、というのは、鏡を見ていても楽しいなあ。
 その後、品川へ移動して、友人たちとわりと大所帯の飲み会。
 こぢんまりしたダーツバーで、飲み放題投げ放題のコースだった。みんながめいめい持参したマイダーツを取り出したら、「すみません、そんなにやりこんでいる方々とは思わなくて、初心者向けに設定していました……」と、お店のひとが慌ててダーツ台の設定をいじくりだしたのがおもしろかった。





 さいきんすこし気になっていること。まえの恋人の病状がひどくなって、命に別状はないけれど日常生活にはすこし障りがあるらしい。こんやの飲み会には欠席だったので、どれほどなのかはわからないけれど、気になる。
「まえつきあってた相手にはしあわせでいてほしいんだけどねえ」と帰り道の電車のなかで男友達にこぼしたら、「それはおまえの傲慢だよ」と窘められた。そうかー。ああ、でも、私と別れたあとふしあわせになられると辛気臭くって寝覚めが悪いのよ。
 ちょうど隅田川の花火の夜だった。そういえば、私たちのはじめましては三年前の隅田川の花火だったね、という話をその男友達とした。あの夏はいろんなことがあって、美しいものをたくさん見た。まえの恋人と付き合いだしたのもそのころだった。じゃあ三年前に戻りたいかっていうとぜんぜんそんなことなくて、あれからかなしいこともくるしいこともあったれけど、いまのほうがしあわせ。それはちょっとすてきなことなんじゃないの。

*1:id:moony:20070505

*2:id:moony:20070620