『多田智満子詩集』

多田智満子詩集 (現代詩文庫 第)

多田智満子詩集 (現代詩文庫 第)

 このひとの詩には、曙*1が薔薇いろの指でふれると朝になる、というフレーズがいくどとなく出てきて、お気に入り。なんとも神話的だなあ、と思っていたら、以前、このひとの『神々の指紋』を読んだことがあったのを思い出した。なっとく。
神々の指紋―ギリシア神話逍遥 (平凡社ライブラリー)

神々の指紋―ギリシア神話逍遥 (平凡社ライブラリー)

   嵐のあと
夜のひきあけ
海はしずかにまどろんでいた
難破したひとつの船を
よみさしの祈祷書のように胸に伏せて

 

*1:もちろん、アウロラ、あるいはエオスのことですね。曙太郎ではなく。