同伴出勤はしません

 まあ、言われるだろうなあ、と覚悟はしていましたが、
「これからお店?」
「ご出勤?」
 というのは、あんのじょう、くちぐちに言われました。
 夜の銀座に着物姿で繰り出した私がすべて悪い。うん。
 というわけで、おともだちの結婚パーティ@銀座に、おきもので参加してきました。披露宴ではないというから、さほど格式ばらないのかと判断して、華やかな色の紬の訪問着で行ったのに、会場に着いてみたらば、ほかの洋装のかたがたはほぼ全員ドレス。そこに混ざると、サテン地のセットアップ姿のH嬢ですら、だいぶおとなしめに。手描き友禅のほうにすればよかったか……。パーティファッションって、むずかしいわあ。
 でも、おきもので賑やかな席に参加すると、それを発端に話がはずんだりして、とてもおもしろかったです。いままで、デートだの初詣だのにしか着たことなかったから、新鮮でした。
 パーティ会場では式の様子や、新郎新婦の幼少期のスライドが流れていて、ハワイ挙式もいいわねえ、とうっとり。白いドレスやタキシードに南国色のレイって、格別に合うなあ。
「家に帰ったらこどものころの写真を見繕っておかなくちゃ……!」「私はプロフィール紹介で言ってもらうようなネタがないことが悩みですよ!」と、営業ちゃんとこそこそと。でも、きょうの主役にごあいさつしたときの開口一番が「おめでとう」でも「おしあわせに」でもなく、「きょうは参考になりました!」だったのは、ふたりとも、だめな子だよね。
 ところで、行きしなに駅に降り立ったとき、やはり和服姿のおねえさま(なんか毛皮のケープ着てた)とすれ違いざま、一瞥するなり、ふん、と鼻で笑われて、ぎゃーわけわからん銀座こわいよう、と慄いたという経緯があったのですが、クロークで気づいた、コートのあわせを逆に来ていました。全面的に私が悪いです。はい。