さいごの誕生日

 年度がかわって、Iくんの異動だとか、いろいろなことが重なって、今秋には私は仕事を辞める、そして入籍する、ということになった。退職も結婚もおおまかに決まっていたこととはいえ、日付がはっきりすると、「事態が動いた」という感が強いなあ。
 私の仕事のほうは、あいかわらずいままさにこの時季が年にいちどの忙しさのピークなんだけれど、来年のいまごろは、桜だって誕生日だって心ゆくまで堪能できるはず。
 そう、誕生日だったのです。二十代最後の。
 誕生日前夜、Iくんちで家事をしていたら母からメール。お父さんがお祝いをしようっていってるけど誕生日は家に帰ってくるの、って。
 うわあ。なんだなんだ。
(私、もう十年がとこWeb日記を書いているけれど、父について言及したことって過去にあった? それくらい、珍しいことなのです)
 ケーキは食べる? とも訊かれたので、みんなが食べたいなら買ってね、と我ながらそっけない返信をしたら、話し合いの結果買うことになりました、と返事がきた。
 これはあれかな……、二十代最後で、しかも独身最後かもしれない誕生日だからなのかな。
 NHKの単発ドラマみたいなシチュエイションだなあと思った。主演は数年前のはしのえみだな。
 そんなわけで、二十九歳になりました。 
 マンゴーとカスタードのケーキはとてもとてもおいしかった。