仙台いちにちめ

 所用あって仙台へ。
 予約したのは午前七時半発の新幹線で、楽勝だわあ、とたかをくくっていたのに、いざ当の朝起きてみたらば七時十五分!
 びっくり。
 ……でもタクシーを飛ばしたら間に合ってしまったので、そっちのほうがよほどびっくりした。
(遠足の前夜のこどもみたく、履いていく靴下まで準備していたのが勝因か)
 そんなわけで、すっぴんで仙台へ(犯罪ですよ!)
 仙台のタクシーの運転手さんは、さいしょのうち、仙台城跡地のちかくの交番がお城ふうのデザインだとか、いま渡ったのが『青葉城恋歌』に出てきた川だとか(曲、しりません……)、いかにも観光客向けの小ネタをぽつぽつと教えてくれたんだけど、山のうえのお城の跡地からは晴れれば太平洋まで見えるというので、そういえば支倉欧州使節団は太平洋経由でローマに行ったんですよね、と水を向けたら俄然熱く語りだしてラヴリーだった。郷土愛。





 泊まったホテルは調度品がすべて舶来だというのが売りのところ。繁華街に程近いせいか、シングルの部屋の半分くらいがバスルームじゃないのというぎゅうぎゅうさかげんで、でも家具は深い飴色で趣があって、なんだか寄宿学校のひとり部屋のよう。
 窓際にベッドがあり、腰掛けるとちょうど窓の外が見える。しかもけっこう上階なものだから屋根裏きぶん、小公女ごっこをするのにうってつけで、たいそう気に入る。
 夜、「旨味 太助」というお店で牛タン定食。
 仙台の牛タンは無造作にぶあつく、おいしかった。
 だいまんぞくで買える道みち、さほど離れていない場所で「味 太助」という、これもやはり牛タン屋さんを見かけてしまう。……なに? なに! なんなの?! もしやこちらが元祖とか本家とか初代とかなの??