はじらい

 サークルの定例会。こんかいは私が幹事役を仰せつかったので、お店の決定権も私に。
「沖縄料理のお店とカジュアルめのビストロ、ふたつまでに候補のお店をしぼったんですけど、どちらがいいですか? ちなみに、私はミミガーが食べたいです」
「じゃあ、沖縄料理でいいじゃん……」
 という、われながらめんどくさい言動の子になりながら(めんどくさい子による、一見すると相談のような発言は、実のところ、大声で語られる独白である)。
 しかもさらにめんどくさいことに、ほんとうに食べたかったのはミミガーでなくラフテーだったという極めつき。
 でもラフテーだとか豚の角煮だとかの食べ物は、ひと前で「食べたい!」とひとこというのが、とても恥ずかしいよね。私、彼氏とふたりでごはん屋さんに行ったときだって頼むのを躊躇してしまう。気心の知れた学生時代からの女友達とさしで、というなら、なんとか勇気が出るけれど。
 という話をM嬢にうちあけたら、えーなんでですか気にせず食べちゃえばいいのにってびっくりされた。Y本さんなんて、私あぶらみだーいすき! と叫んだ。そんなことはふたりともBMIが19を切っていそうなスタイルだからいえるわけですよ! 私なんて私なんて、豚肉を食べていると「共喰い」っぽいというか、「原因」と「結果」が同時に並んでいるというか……。
 己の欲求を忌憚なく発言するには資格が必要なのだなあと思った。体型とか。
 絹子さん、はじらいを捨てて! と励まされながら食べたラフテーは、とてもおいしかったです。
(よく考えると、ミミガーだって、どうなんだそれっていう食材だわ)