6月の二次会に呼ばれて

 ことしは夏向きのちょっとしたよそいきのきものがほしいわねえ……と思っていたら、6月に結婚するおともだちの二次会にお呼ばれされまして。
 夏向きの!(真夏ではないという意味)
 ちょっとしたよそいき!(披露宴レヴェルではないという意味)
 なんという好都合かしら!! と興奮して、
「つきましては手持ちの帯に合わせてなにかほしいの! いくつか見繕っておいて!!」
 いつものお店の店員さん(同い年男子)に連絡したら、
「じゃあこんど合わせたい帯をお店に持ってきてね」
「わかった! たくさん持ってく!」
「いや、いちおう選んできてね。ぜんぶだとこっちもこまるからね。帯重いし」
「……わ、わかりました」
 れいせいね……。というか私がはっちゃけすぎね……。
 そんなわけで実家に戻って箪笥をひっくり返す作業を。ひとえ! ひとえ! と騒いでいたら、祖母が出してきてくれたのが、青い地につがいの鴛鴦の柄の単。おばあちゃんこれは……、タイトルをつけるならさしずめ「6月の披露宴に呼ばれて」じゃない? と訊いたら、まさしくそういう経緯で誂えたものだそう。ほぼ新品。でもこれは披露宴向きだよね、ほかの単はふだんぎっぽいし、と祖母・母・私で三者会議(このどさくさに、祖母のしつけがついたままの木綿の単を母がゲット)。手持ちのうち、どうにも素っ頓狂な色や柄で、なかなか締める機会がなく箪笥の肥やしと化していた帯を、厳選して4本。
 約束の時間にお店に行くと店員さんが、
「ちゃんと帯を選んで来た?」
 と訊くので、
「選んだけど、私が持ってるのへんな帯ばっかりなの! あっごめんこのお店で買った帯だった!」
「絹子さんお願いだからお店の入り口でそういうこと大声で言うのやめてね」
 わーんごめんなさいごめんなさい! ひさしぶりに誂えるのでだいぶ浮かれているみたい。
 箪笥の肥やしそのいちに、銀色がかった白地に虹色のグラデーションのラインが一本入っている袋帯(ね? 素っ頓狂でしょう?)があって、その虹に色味の似た淡いピンクのお召しを単に仕立ててはどうかという話になりました。
「女の子のお客さんって結婚するとしばらく来てくれなくなるんだけど、ひさびさに来てくれたと思うと『6月のお呼ばれに着ていくものがほしい』ってみんな言うんだよねえ」
 とは、店員さんの弁。
 うん、そりゃあ、「あたらしいきものがほしいの」とはなかなか言い出しづらいけど、「おともだちの結婚式にきものを着て行きたいけど、この季節にちょうどいいのを持ってないのよね……」となら言いやすいし、「じゃあ、この機会に買ったら?」という流れになるというものじゃないの!
 ついでと称して、去年の浴衣にあわせたらがらりと雰囲気を変えてくれそうな半幅帯や、紅梅の浴衣を夏着物ふうに着るための麻の襦袢も頼んで、大満足のお買い物でした。
 ああ夏が来るのが楽しみになってきた!
(このエントリにエクスクラメーションマークはいくつあるでしょう?)