日照問題

 だいぶ日が長くなってきている気がする。
 というのも、まいにちほぼ同じ時刻に職場を出るのに、ここのところ、まだ日が沈みきっていなかったり、あるいは朝、バックライトを点けてもなかなか読めなかった体温計の液晶が、ここ数日は窓辺から洩れる光だけでも読めるようになったりしたからです。
 春が来たのかと勘違いしてしまいそうだけど、まあ、ここからが長いんですよね。
 でも、きょうは「大寒」なのに、ずいぶんと暖かかった。薄着で出かけても汗ばむくらい。
 それで、お姑さんから習った「切り餅からつくるおかき」に挑戦しました。お正月の残りのお餅を乾燥させて、ちいさく砕いて油で揚げるというもの。手っ取り早く水気を飛ばすために、天日で干してみます。
 そうしたら、お餅を八つ干したうち、仕舞うときには二つが消えていて、残りは六つだけに。
 のし餅ほどは大きくないけど、切り餅そのままの大きさだもの、雀の嘴じゃむりだろうから、鴉が浚っていったんだろうけど。どうしてあんな、白くてちいさなモノリスみたいな物体が食べ物だとわかるんだろう、あの種族は。
 ……という疑問を帰宅した主人にぶつけたところ、ものすごく厭そうな顔で、
「それって、残ってるお餅も鴉がつついた可能性があるんじゃないの? だいじょうぶなの、衛生的に」
「多少つつかれていても、このあと高温で揚げる際に殺菌されるから大丈夫という理論です」
「もう、しんじられない! 実家だと天日干しじゃなくて部屋干しだったよ。……まあ、洗濯物を干している下において干してたのは、どんなもんかとつねづね思ってたけど……」
「それって、洗濯物の糸くずとか、そのう、髪とか毛とかが混入するんじゃないの? だいじょうぶなの?」
「……高温で揚げる際に殺菌されるから大丈夫という理論なんだよ……」
 わたくし、婚家の家風になじめる自信がちびっと湧いてきました。
 お餅はあと何日か室内で干したあとに、油で揚げてみようと思います。