熱狂の日

 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンへ、初参戦してきました。
 丸の内の周辺エリアと東京国際フォーラム、ふたつの会場があるので、とりあえず東京国際フォーラムの有料コンサートの前売り券を購入。その開場まで丸の内エリアの無料コンサートを聴いてまわる、というプランにしました。
 ことしのテーマは生誕200周年のショパン。会場で配られたプログラムには、Tシャツを着たショパンの隣にジョルジュ・サンド似の女性が寄り添っているイラストがあしらわれていて、おもしろかったです。
 夕方くらいには丸の内エリアのイヴェントはひと通り落ち着いてしまったので、ごはん。
 しかしいつも思うのですが、丸の内のレストランって、お高めだし混んでいるしお料理が出てくるのが遅いし、おいしいけれども、うーん、といういまいち感が否めません。
 食後、ぼちぼち、徒歩で東京国際フォーラムへ。
 ひまつぶしに、アトリウムにある携帯電話の会社のブースで、コンサートで演奏されたばかりの音源を着うたで流す、というサーヴィスの視聴をしたところ、屋台村の割引券をもらいました。
 屋台村……?!
 なんと東京国際フォーラムの地上広場に、たくさんのパラソルつきのテーブルと世界じゅうの食べ物のケータリングワゴンからなる屋台村が出現していました。知らなかった! リサーチ不足……!!
 野外ステージや大型スクリーンを観ながら、5月の空の下、ワインを飲みつつ(ボトルワインも売ってたのー)、ドネルケバブを食べられるという、そのすてき空間ときたら。
 あまりのすてきさにしばし呆然としたあと、同行した主人が思いっきり鼻を鳴らしていました。さっき夕ごはんを食べたカリフォルニアイタリアンよりだんぜんこっちのが良かった、と訴えたかったらしいです。
(おまえはデートちゅうに不満をもらす十代女子か!)
「来年はぜったいこっちに来ようねっ」
 と強く言われたので、え……私の野望の「年度初めに子を産む」を忘れたのかこいつ、と思いつつ、
「私のスケジュールでは来年のいまごろは臨月か出産直後なんですけど」
 と答えたところ、
「さ来年産めばいいじゃない……!」
 という斜め上の返事でした。
 夫婦のライフプランさえねじまげる屋台村の魅力!!
 国際フォーラム内のコンビニではのど飴が売り切れていて、演奏を鑑賞ちゅうに咳をしないように、というたくさんの人びとの意気込みをうかがえました。
 有料コンサートは『ヘクサメロン変奏曲』。ヘクサメロン、という名まえが暗示するとおり、六種類の変奏からなる曲で、もとはベッリーニのオペラ《清教徒》の行進曲、それを当時のさる貴婦人主催の慈善コンサートのために六人の作曲家がそれぞれ変奏曲を書いた合作なのだそうです。もともとお祭りにふさわしい出自の曲を、今回はさらに六台のピアノで六人のピアニストが弾くというプログラムで、華やかで楽しいものでした。ステージのうえに六台並んだグランドピアノ!
 六人のピアニストのなかにひとりジャズピアニストがいて、それ、さらに変奏しちゃってるよね……というアレンジぶり。おまつりだなあ。
 全体的に、学園祭を思い出せるような雰囲気の漂うイヴェントでした。ロックフェスって、参加したことがないし、私の体力のことを考えるとこのさきもむりそう、と諦めているのですが、こんな感じなのかしら、とも思いました。
  LFJにはO歳からの観覧可能のキッズプログラムもあるそうなので、よほど産みたてほやほやでない限り、家族連れでもまいとし参加できそうです。