カフェオレ色のリネン、ではなく

 きつけのお教室。
 きょうは実技ではなく、座学でした。テーマはきものの生地の染織について。初めて知ったことが多く、いろいろと勉強になりました。
 まず素材の、真綿って、コットンじゃなくて、絹の玉繭をほわほわとひろげたもの。というのも衝撃的だったんだけれど、じわじわと沁み入ったのが、糸にするまえの麻の姿。
 麻は動物繊維じゃなくて植物繊維、というのも、おお、いわれてみれば、と思ったくらいなので、畑に生えている麻なんて、初見です。なんだか茎ばかりびよびよと延びていて、それが収穫されて束ねてある姿は、これは……あれだ、蕗に似ている!!
 こんご「カフェオレ色のリネン」が「蕗の煮しめ」としか思えなくなりそうな、センセーショナルなヴィジュアルでしたよ。
 そのほか、染料のことなど。インディゴといえばジーンズなどは色移りするので白いものといっしょに洗わない、という注意書きがありますが、天然の藍は色移りしないんですって。講師の先生が、白い裾除け半襟といっしょに本藍のハンカチを洗ってしまったら、洗濯機のなかの水が真っ青! 裾除けも青く染まってしまったに違いない、と諦めていたら、脱水の終わった洗濯層のなかにはまっ白なままの裾除け半襟と、そのなかにぽつんと藍染めのハンカチがあるだけだった。というお話が、「白鳥は哀しからずや」というあの有名な歌とちょうど逆のようで、印象深いものでした。
 あと、藍の生産農家では、植物の藍は染料にするのに発酵させるのだけれど、温度が下がって発酵を止めてしまうのを「藍が風邪をひく」、それを防ぐために藍のうえに被せる筵を「ふとん」と呼ぶんですって。かわいい。
 副読本として、北から南まで日本全国各地と染めや織りの一覧を使用したのですが、目に毒でした。以前ちらりと見かけてすてきだなあと思ったあのきものは、ここの織り物だったのねー、とか……ほしくなっちゃうじゃないですか。街ですれ違ってのほのかに憧れるだけだった名も知らぬひとなのに、ふとしたことで名まえや住まいを知ってしまったような、自制心が試されている感じ!