ハーブのある暮らし、あるいは刻み葱と清少納言
さいきん、ハーブ作りをはじめました。
ハーブといっても、
「ラヴェンダーのポプリでサシェを……」
とか、
「フレッシュなカモミールでハーブティーを……」
といった「生活の木」ふうの方向性ではなくて、
「薬味のあさつき、わけぎの類の消費量が半端ないので、どうにか自宅で栽培できないものか」
が発端の、非常に葱臭いものです。
ハーブのチャイブは和名を西洋あさつきといい、逆にあさつきは英名をJapanese Chivesというそうなので、代用品として使用可能なのですね。
チャイブや我が家でよく使うイタリアンパセリのほか、エストラゴン、チャービルなど、刻んで料理に加えるハーブをフィーヌゼルブと呼ぶそうです。これは英語だとFines herbes。おお、まさしく「刻み葱」って感じ。
日本語だとそんななのにおフランス語だと響きがおしゃれっぽいわねえとインターネットで調べていたら、結婚式場でこの名まえを冠しているところを見つけてしまい、ちょっと、うろたえました。結婚式場「刻み葱」(和名)。…………。
……家庭的な、よいご夫婦になりそうじゃないのっ。と、だれにともなくフォローをしたのちに、結婚式場とはいってもレストランウェディングをするフレンチレストランだということがわかり、それならばまあ許そう、とまたしてもだれにともなく、思いました。
先日の台湾旅行で「マンション清少納言」を見かけ、うーむそれありなんですかかっこいいんですか……と唸ったわけですが、日本の古典に堪能な台湾のひとも、「……ああ、ねえ……、……寝殿造り?」と、だれにともなくフォローしたりするのかなあ。
閑話休題。
ハーブの苗を買いに、実家の近くのホームセンターへ行き、その帰り、このあたり一帯の地主一族の同級生のおうちが園芸屋さんを営んでいたことを思い出して、寄り道しました。
忽然とイングリッシュガーデンが立ち現われていて、震えました。雑貨売り場も、シャビーでコージーな感じ?
私が子どものころは、ビニールハウスにパンジーやチューリップが咲いているような、小学一年生の音楽や理科の教科書の、春にやる単元のページのような、すこやかでほのぼのしたところだったんだけどなあ。すさまじい様変わり。
でも、輸入物のすてきな鉢やコンテナをたくさん扱っているのを見て、ホームセンターでありふれたイタリアンテラコッタをすでに購入していたのを後悔しました。
「同級生の実家」は侮れない、と学んだ次第。
そういう紆余曲折のはて、いま、我が家にはチャイブとイタリアンパセリとチャービルの寄せ植えがあります。ハーブのある暮らしは、水やりのために、午前ちゅうのさわやかな空気を人間も取り込めて、なかなかすてき。
チャイブはピンク色のポンポンのようなかわいらしい花をつけるそうなので、ぜひ見てみたいものです。