山桃の実の降る古本市

 今月もまた街に青空古本市がやってきたので、いろいろと物色。今回は、おもに昭和二、三十年代の婦人雑誌の付録を見て回りました。
 和洋裁や編み物、マナーなどのテーマごとの別冊付録で、二十年代後半はまだページ数も少なく、薄い冊子なのですが、三十年代に入るとページ数も増して、まるでそれ自体が一冊の雑誌のような分厚さに。読みごたえたっぷりです。


ゲゲゲの女房』の主人公・布美枝の幼馴染のチエちゃんが、こんなお洋服を着ていそうです。この時代のワンピースはきちんとウエストがマークされていてすてきだなあ!

 たとえ洋裁や編み物の本でも、和装にあわせるコートや小物類にページがかならずあったり、和裁の本にはお布団の仕立て方が載っているというあたりが、いまの本とは違うところ。
(お布団屋さんのお布団がてらてらした花柄の生地でできているのは、きものを仕立て直していたころの名残なんでしょうかね)
 そのほか、中原淳一の絵が表紙のお習字のお手本帳や、レースの日傘の編み方が載っているレース編み図集など、なんというか、出し惜しみのない、豪華な内容でした。
 ところで、この古本市のお会計のテントはいつも、会場となる広場でひときわ大きな木の根元にしつらえられるのだけれど、その木が山桃の木だということを、今回はじめて知りました。「やまももの実が降ってくるので注意」という注意書きがあって、地面のあちこちに赤い斑点が残っているの。
 山桃の実は、ワイヤーで球形につくった枠組みをディップ液に浸したあと、液が乾ききるまえにダークワイン色の極小ビーズをまぶしたような姿かたち、と思いました。いま、ディップアート(アメリカンフラワー)に興味があるので、世界のなにもかもが、ディップアートで再現するとしたらどんなふう? という視点からしか見えません。