蓮の花とひとさまの息子

 蓮の花を見に行きたいなー、と呟いていたら、主人から主人の実家に話がまわって、われわれ夫婦とお舅さん、お姑さんという四人連れで、古代蓮を見に行くことになりました。
 古代蓮は工事現場から見つかった種子が自然発芽したら古い品種の蓮だとわかったというもので、千四百年から三千年まえのものだといわれているそうです。ずいぶんと開きがある……。
 その古代種の蓮のほかにも、古今東西数十種類の蓮が咲いていて、一重咲きの白い花も、八重咲きのピンクの花も、白い花弁のふちがほんのり色づいている花も、それぞれの良さがあって一個に選べません。
(一個選べとはだれにも言われていません)





 併設の蓮の博物館の展示を観ていたら、すっとんきょうな声をあげて主人曰く、
「レンコンて蓮の花の根っこなの?!」
 このおそろしい発言に思わず、
「レンコンって漢字で『蓮の根』って書くじゃないの!」
「知らなかった。カルチャーショックです」
「カルチャーじゃない! 常識!!」
 ……という、この一連のやりとりを、気づいたらお姑さんに凝視されていました。ああっ、ひとさまの息子だってことをすっかり忘れていつもの調子でつっこんでしまったっ。
 容赦ない嫁だと思われるから、あんまりボケないでほしい……。と思った次第です。