三十一歳のさいごの一カ月は

 先月の半ばから不正出血がとまらず、通院していました。いろいろと検査をした結果、器質性ではなく機能性のもの、おそらくはホルモンバランスの乱れが原因。とのことで、ホルモン剤を服用し、やっと出血がおさまったので、ほっとしたところです。
 ホルモンバランスはストレスや、ちょっとした環境の変化でも乱れるそうです。このひと月ほどにあったストレスや環境の変化……といえば、やはり先月の震災で、インターネットで検索してみても三月十一日以降、不正出血が止まらないという声があちらこちらで書きこまれていました。一時期、店頭から生理用品が消えたけれど、原因は買い占め行為のせいばかりでなく、不意の需要増にもあったのではないかと思います。
 震災の影響、とはいっても、私の住んでいるあたりは震度5弱程度(まあ、生まれて初めて、避難訓練以外で机の下にもぐりこんだけれど)で自宅にも夫婦それぞれの実家親族にも被害はなく、主人が帰宅難民となったほかは、計画停電と一時的な物資不足くらいのもので、あたたかい場所にいたし、食事もできました。それでも地震直後の報道や原発の事故でこんなにショックを受けてしまい、自分のからだの変化にまたショックを受ける、という事態に陥ってしまったのだから、実際に被災された方々のご苦労を思うと、ことばにできません。
 もし、避難されているなかにおなじ症状の方がいたとしても、どうか医師による適切な診断が受けられていますように。衛生用品や薬剤、サプリメントなどが手に届いていまように。もちろん、それ以外のすべてのひとにも、一日でも早く、すこしでも安らげるときが訪れますように。わずかながらの金額を募金するくらいしかできないけれど、どうぞ有効に活用されますようにと望んでいます。

 と、だいぶ落ち込んですごしたここひと月だったのですが、いろいろと助けてくれたのは、近畿地方より西に住んでいる大学時代の友人たちでした。東北に住む友人たちやその家族の安否を確認し、情報をとりまとめて、関東に住む私たちにmixitwitterで教えてくれたのは彼らでした。ニュースのなかの聞き覚えのある地名に青ざめるばかりだったので、そうした情報にどれほど助けられたかわかりません。
 懐中電灯用の電池がどこも品切れで実家が困っていたので、わが家の余分なエネループを差し入れし、かわりにトイレットペーパーをわけてもらったり、しばらくつづいた物資不足は、そうして乗り切りました。「すっきりとしたくらしのために」、そんな謳い文句の本に影響されて、消耗分の在庫は持たず、お米は残り一合、トイレットペーパーもさいごのロールにならないと買い足しにいかない生活は、企業やそこに従事するひとびとの不断の努力のうえにあぐらをかいていたのだと身にしみてわかりました。
「いつもどおり過ごすことがいちばん」ということばはよくきいたけれど、「いつもどおり」っていちど失うと、とりもどすのにいろいろしんどい。だからできることをできるひとがすこしずつしていくしかない、と思った日々でもありました。


 そんなふうにすごしているあいだに、今月の九日に、三十二歳になっていました。三十一歳のいちねんかんを振り返ると、最初の十一カ月はきらきらと輝いて、なにひとつ不自由なくしあわせで、でもそれに気付かずにいたなあと呆然としてしまいます。さいごの一カ月を形容することばは、まだうまく見つけられていません。

(節目、というわけではないですが、ずっと更新報告させていただいていたテキスト庵*1を、このエントリをさいごに、卒業させていただきます。テ庵にはその設立直後に、以前書いていた日記を登録したので、なんとあしかけ十二年もお世話になっていました。大学生のころ、やっぱり大学生で遠くに住んでいる女の子と、ほのかに交換日記のようなやりとりがあったり、年上の方々にいろいろと教えていただいたり、たのしいことがたくさんありました。長いあいだ、どうもありがとうございました。ここの日記自体は、今後もぼちぼちつづけていきます)