雨の日の病院とSFと

 土砂降りの雨でした。ことし初レインブーツ(これまでは、雨が降っても、ただのブーツを履いていたのです)で病院へ。
 午前10時の診察予約で、9時55分に再来受付機を通して、じっさいに診察がはじまったのが12時。そりゃあ、待つあいだ、なにかエラーがあって私の受付データ飛んだのかも……、と疑いましたとも。でも、ほかの患者さんがクラークさんに訊ねていて、そのひとの予約時刻が近かったので、もう、みんな、2時間待ちだったみたい。むしろ、予約していたひとは2時間で済んだだけマシ、というレヴェルだったみたい。
 診察より待ち疲れでぐったりしたあと、病院のそばの古書店へ。
 偶然、女性作家のSF漫画が揃っていたので、きょうはSF漫画まつりに急遽決まりました。
 雨の日とSFは、相性がいい気がします。雨に降りこめられた空気感には、宇宙に浮かぶ宇宙船や、ロケットや、コロニーの閉ざされた感覚を、経験したこともないのに、思い起こさせる作用があります。

土星マンション 6 (IKKI COMIX)

土星マンション 6 (IKKI COMIX)

 ほのぼのした絵柄で、主人公の周囲の人間関係もほほえましいので、すっかりだまされてたんだけど、いつのまにか、一部でものすごく不穏なことが進行していた。この先どうなっちゃうんだろう……。そしていまさらだけど主人公たちの住む下界の雰囲気が好き。いまは亡き九龍城ってこんなだったかしらと思わせる。
ウは宇宙船のウ (小学館文庫)

ウは宇宙船のウ (小学館文庫)

 レイ・ブラッドベリの原作を萩尾望都が漫画化した短編集。『霧笛』に登場するある生き物とか、いつものおモーさまの作品ならぜったい出てこなそうなので、新鮮味な感じ。
地球へ… 1 (Gファンタジーコミックススーパー)

地球へ… 1 (Gファンタジーコミックススーパー)

 10年ぶりくらいに再読した『地球へ…』。昔、これを貸してくれた大学の男友達は「ジョミーがかわいい」といっていて、当時の私はさっぱりわからなかったのだけど(フィシス派でした)、いまならなんとなくわかる。『地球へ…』のメインキャラクターたちはみんな理不尽なものを背負わされているけれど、わけてもジョミーは、けなげすぎる。新人類(ミュウ)の能力を持ちながら、ミュウにはない、旧人類の強靭さ、健やかさをも持ち合わせていたがゆえに、ミュウたちをリーダー、ソルジャー・ブルーに、突然その後継者に指名された以降のジョミーのしんどさときたら。
 かわいらしい絵柄なのにさらっとえげつないことが描かれているのが竹宮惠子作品の真骨頂だと思うけれど(『ファラオの墓』でスネフェルとナイルキアをひと部屋に閉じ込めて覗き見するケス宰相とか、少女漫画にあるまじき変態的下種だよね)の、ミュウの世界に来たばかりで、ミュウたち特有のテレパシーによる会話も、それを遮蔽することもできないジョミーのなかにある劣等感を読んだ挙句、それをわざわざ口で指摘するミュウもひっどい。ソルジャー・ブルーに共感したとはいえ、よくまあこんな種族を率いるのを了承したなあジョミー。けなげ。と思ったのでした。
(ジョミーがテレパシーをマスターしたあとも、発する思念波が強すぎてぶしつけだの、逆に他人の怒りに晒されたときは、なんでガードしなかったのだの理不尽なダブルスタンダード責めをされていて、ミュウにむかつく。思っただけで通じてしまうというのは野蛮なことだなあ。思うことと口にすることのあいだにギャップがあるのはすてきなことだとしみじみ)
地球へ…』は2007年にTVアニメ化されていたそうなので、観てみようかなあ、と思ったり。でも、Web上で画像を見るかぎり、竹宮惠子の、むせるような色気を感じさせるというより、萩尾望都を思わせるような繊細さのある絵柄なのねー。
地球へ… 2 (Gファンタジーコミックススーパー)

地球へ… 2 (Gファンタジーコミックススーパー)

地球へ… 3 (Gファンタジーコミックススーパー)

地球へ… 3 (Gファンタジーコミックススーパー)