意外な活躍

 洗濯機にトラブル発生。漏水です!
 正確にいうと、洗面所の、洗濯機用の蛇口のさきっぽの部品に、洗濯機からのびるホースのジョイント部のねじのせいで、穴が空いちゃった。
 ためしに防水テープを巻いてみてもぜーんぜん効果なしだったので、くらしあんしんなあそこに電話しなきゃだめなのかしら……とがっくりしているところに主人が、
「火災保険のオプションにそういうのが含まれてたような記憶があるから、契約時の書類を調べてみてね」
 保険関係のファイルをひっくりかえしてみると、たしかに、水回りのトラブルの際、保険会社が修理業者さんを手配してくれて、しかも30分以内の作業料が無料、実費のみ請求というサーヴィスがついていました。さっそく保険会社に電話。
 しかし、あんまりつかわれていないサーヴィスらしくて、受付で多少もたつかれたり、二回ほど電話を転送されたりしつつ、こちらの希望時刻に来られる業者さんを手配してもらいました。
 そこからさきは、早かった。指定時刻に訪れた業者さんは、状態を見るなり、「ここは壊れやすいんですよ」、「おなじ型の部品とすぐ交換できますけど、いまはホースと繋ぐのに金具が必要ないタイプの部品もあります。どちらにします?」 と、さくさく説明。おなじ型だとまた漏水するかもしれないので、新しい型の蛇口に交換してもらうことに。
 業者さんが車から持ってきた部品が、我が家の蛇口にぴったり合ったので、まるで魔法みたい! とびっくりしていたら(だって採寸すらしなかったんだもん)、「蛇口の先の部品は規格が決まっていてみんな同じ太さなんですよ」と教えてもらいました。
 そんなこんなで作業自体はものの三分も要さず終了。状態確認から作業内容や手続きの説明まで含めて、十五分とかからなかったんじゃないかな。
 蛇口の規格の件についての知識を得たので、じゃあ、自分で部品購入と交換するのもそんなにむつかしくないのかもと思ったりもしました。が、そもそも業者さんに教えてもらわなければ、規格についてまずネットで調べて、ほんとうかどうかいちおう確認するために蛇口の現物の採寸をして、この炎天下にホームセンターまで出向いて部品を購入して、……という作業が必要だったわけで、と考えてむりむり! それをこなす粘り強さが私にはない! という結論に達しました。
 請求書によると、無料になったぶんの作業料は、実費請求された部品代の、約六倍でした。
 作業料の価格設定って、素人からは見るとだいぶ不透明というか、かかった時間に対して割高感があったり、部品代と違ってすっきり払いたくないイメージがあるからこそ、この「30分以内作業料無料」というサーヴィスがあるんだろうけれども、今回の業者さんの蓄積された知識や手際の良さ、部品がちゃんと用意されている準備の部分を見るにつけ、かたちをとらないものこそリスペクトされるべき、というようなことを考えました。
 ……そして、それとはまったく関係ないのだけれど、保険というのは当初の予想とはまったく違うオプションばっかり使うことになるよねえ。なぜかしら。
 前回使用するはめになったのは海外旅行傷害保険で、旅先にいるあいだはなーんにもなかったのに、帰国して自宅のまえでタクシーのトランクからスーツケースをおろしたもらったとたんに、スーツケースのハンドル部が壊れたのでした。スーツケース破損特約をつかって修理してもらったけれど、このことのために保険に入ったんじゃないのに……いやでも怪我したり物を盗まれたりしたかったわけじゃないけど……、と、なにか当惑したのでした。
「転ばぬ先の杖」というけれど、転んだとき用に保険で杖をついて歩いていたら、手のひらのツボが刺激されて胃腸が健康に! というような、意外な方面でいつも活躍してくれます。ふしぎだわあ。