洗濯機と、『マネーボール』

 あたらしい洗濯機が、自宅に届く日でした。
 洗濯機はずっと、主人が独身ひとり暮らし時代に購入したものを使いつづけてきたのだけれど、さすがに容量的に少なすぎて、いちにち二回まわす日もあったりと、「買い替えリスト」の先頭を占めていたのです。
 それを、なんでか、この引っ越しシーズンに購入。べつに、いまである必要は、まったくなかったくせに。一年でいちばん忙しいであろうシーズンらしく、まあ購入時に指定した配送時間帯には、届かなかったよね。
 しかも、配送業者さんを待つあいだに観ていたのが、よりによって『マネーボール』だったので、
エコナビつきななめドラムなんてスター的な存在が、ほんとうに我が家に必要だったんだろうか……?」
「もっとコストパフォーマンスのいい選択肢があったのでは……」
出塁率的にいうと、縦型……」
「まさか、二層式……?!」
 と、いろいろな考えが脳裏をよぎったのですが、いまさら! すぎたので、必死にシャットアウトしました。
 おそろしい影響力をもつ映画だなあ、『マネーボール』。
 やっと来てくれた業者さんによる、旧洗濯機撤去から新洗濯機の試運転完了まで、約10分ですべてをこなす、流れるような作業を目の当たりにし、プロの仕事ってすてき……! と思いました。
 お洗濯は、家事のなかでもかなり好きなほうなのに、こんな新たなツールまで手にいれて、よかったのかしらよかったのかしら。まあ、つまり、うれしいってことです。

 さて、『マネーボール』。メジャーリーグの出来事にたいして知識がなかったのでまったく予想がつかず、はらはらしながら観ることができました。主人公で、ブラピ演じるとあるプロ野球チームのGMが、独特の理論をもつスタッフを得て、低予算の自球団を改革していく。この主人公、若き日にうっかりドラフトで上位指名されてしまったがために人生の選択を間違えた、と後悔していて、でもいまさら野球以外で食べていくこともできない。もはや惰性か、あるいは恨みや憎しみで動いているようなのですね。しかし、新たな理論を取り入れたことで野球に対する姿勢も変化し、やっぱり野球が好きだと気付く。そのあいだに負けたり勝ったり、というのがあらすじです。
 主人公の娘との交流が、本筋とはあんまり関係なさそうだけれど、心に残りました。フィクションのなかに出てくる、「配偶者と離婚したので、いまは別居ちゅうの実子」との交流って、きまずかったり、とげとげしかったりすることが多いのに、そういうところがなくて、このふたりは、いまはべつに暮しているけれど、親子なんだなあということがしんみりとよく伝わってきました。
 すごく気になったことが一点だけ、それは作中、ふとした瞬間にブラピの顔が香川照之に見えてショックで、そんな自分にさらにショックを受けたことです。私、ブラピも香川照之も好きなんだけど、微妙に違うジャンルとして好きだったのね……という気づきがありました。
 それにしてもこんなショックは、「ブラピとジョージ・クルーニーは、並んで立っているとあんななのに、じつはたったの二歳ちがい」と知ったとき以来です。